設計プロセスの全ては、 人のために。
家具が進める挑戦
身体を観察し、行動を分析し、多くの人と対話する。
Feature 01
人の行動を描く人間工学



どう使うか、動くか、働くかの観察が基準
360°座面が自由に動くという、まったく新しい発想のオフィスチェアー「ing」。このシリーズの開発を手掛けているのは少人数の専門部署。マーケットインではなくプロダクトアウト的発想で椅子の開発に取り組んでいます。
人間工学の知見を基に、n=1の深い悩みや観察から仮説を立て、試作・検証を繰り返しながら製品化し、フィードバックをもとに改良を重ねていきます。コクヨにおける人間工学は「背もたれの位置と椅子がこういう角度だときれいな姿勢になります」といった静的なデータに基づく平均値ではなく、実際にどう使うか・動くか・働くかといった人の行動観察をベースにした動的なワーク全体を捉えた独自の視点で実装しているのが特徴です。
開発期間に4、5年を掛けている製品も多くあり、社員自身が手厳しいユーザーとなり改良を重ね、フィードバックを続けています。発売後も現場での検証や多様なユーザーの洞察は続きます。
「ing」も、当初は動きが軽快すぎたため、動作の質を変化させていきました。また、全く椅子を動かすことはないと考えていたユーザーの方も、実際使用してみると動いている感覚で「それが心地よい」と感じられていました。そうなってくると「動く」という定義が変わってきます。使う人の繊細な動きや声を見逃さず、時に自分たちをもスクラップ&ビルドしていきます。完成はいつも、まだまだ先です。
働き方の観察からこんな商品が生まれました
Feature 02
インクルーシブな デザインプロセスで共創する



それぞれの視点に気付き合い、 新しい視点で設計する
コクヨの家具開発において、インクルーシプデザイン(ID)は従来のユニバーサルデザイン(UD) とは異なる実践的アプローチとして約10年ほど前から取り入れられています。リードユーザーとプロダクトを共創し、彼らとの深い対話や観察を通じて、身体的にも精神的にもコクヨの社員だけではわからなかったことを学び、理解。先入観を取り払い、従来のデザインプロセスでは捉えきれなかった「不快さ」や「複雑さ」といった気づきをプロダクトに込めていきます。そして、このモノづくりの手法を「HOWS DESIGN(ハウズデザイン)」と名付けています。
コミュニケーションの新しい形を生み出す家具「Hangout(ハングアウト)」の場合は、週1の定例会議を2年ほど行っていました。検討を進めるなかで、屋外に出てスロープの手すりに腰をかけてチームメンバーで談笑していたときに、「あ! 求めていたのはこれぐらいの安心感をくれる感じでは!?」とリードユーザーと開発メンバーで感覚を共有できたことが大きなブレークスルーに。それはまさに共感共創の原点です。
ユーザーと一緒に繰り返し検証を行っているため、コクヨとしてプロダクトに絶対的な自信を持つことができます。結果それは、大きなインサイトの発見や、社会の新しいアイデアとなり、多くの方々にとって愛されるデザインになっていきます。
コクヨのファニチャー事業では、特例子会社Kハートのメンバーと家具を共に設計する取り組みを推進中。2030年までにグループ全体で新商品の50%以上をインクルーシブデザインによってつくることを目指しています。従来の開発プロセスと比較すると、とても時間がかかるという課題はありますが、質を向上しながらどう広げていくかを全社で模索しています。
インクルーシブなデザインプロセスを経ています
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窓口向けロビーチェアーMadre詳細