映画発表会に潜入!
岩井俊二監督らが
語る「好奇心」
創業120周年を機に”好奇心”をテーマに国際的な監督たちが短編映画を制作。このテーマをどう映画に込めたのか?監督陣を迎えて行われた記者発表会の様子をお届けします。
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INDEX
コクヨ初の挑戦『The Curiosity Films』
黒田英邦(代表執行役社長)
2025年10月2日、品川オフィスTHE CAMPUSにて、メディア向けリブランディング発表会が開催されました。第1部のコーポレートメッセージや新ロゴの発表に続き、第2部では短編映画に焦点を当て、制作経緯の説明や各監督・ゲストとのトークセッションが行われました。
代表執行役社長の黒田は、新コーポレートメッセージを単なる言葉ではなく、実際に人々に体験してもらうためのツールとして短編映画「The Curiosity Films」の制作を決断したと説明。その意図は「見てくれる人それぞれの心に眠る好奇心のスイッチを押したい」という熱い思いにあります。メガホンを取ったのはグローバルで活躍する「岩井俊二」「デレク・ツァン」「シュチ・タラティ」(敬称略)の3名の映画監督。日本・中国・アメリカの3つの舞台で映画制作を依頼し、監督の出自と映画の舞台をあえてシャッフルさせるユニークな試みを通じ、多様な視点と物語で好奇心の多様性を表現することを狙いました。
「好奇心」をどのように映画に込めたのか
発表会には岩井監督とデレク監督がゲストとして登壇。「好奇心」をどのように映画に込めたかという問いに対し、監督たちはそれぞれの視点を明かしました。
デレク監督は「いかに自分の世界に対して好奇心を持つかということをテーマとした」と回答。「作家は勿論自分の作品に興味を持っているが、作品の中の登場人物も作家に対して好奇心を持っているのではないかという考えから、今回のアイディアが生まれた」と語りました。
続けて、岩井監督は「自分にとって非常にナチュラルなテーマだった」と述べました。「大人になった今でも好奇心の塊だが、小学校時代はその1万倍ぐらい好奇心の塊だった。そんな時期を描けば自然と好奇心あふれる作品になると考え、企画を提案した」と明かしました。
今回残念ながら欠席となったシュチ監督はビデオメッセージで、「映画には様々な形で好奇心が表現されている」と説明。「この物語を通じて、ダンスを通じた好奇心の再燃、すなわち大人の心に再び生まれる探求心を表現した」と続けました。
それぞれの監督にとっての「好奇心」
岩井俊二監督
デレク・ツァン監督
続けて、自身にとっての「好奇心とは何か」についてそれぞれ考えを述べました。
岩井監督は好奇心を「説明のつかないものではあるが、興味を持つと追求せざるを得ないもの」と表現しました。監督にとっての好奇心のシンボルであり、創作の原点は、小学校時代に友人が持っていた新聞用の「シルバーの写植」への強い憧れにあると語りました「自分の文章を活字にしてみたい」という欲望に駆られ、それがやがて小説家という夢に。そして、さらに飛躍して映画監督の道へと繋がりました。監督は「もしその友人がいなかったら映画監督になっていなかったかもしれない」と熱弁しました。
続いて、デレク監督は「非常に答えるのが難しい質問」と前置きしつつ「私たちのような作家にとって、好奇心が全ての源泉」と回答しました。「周りの全てに問いかけて、その過程で色々な感情を抱き、答えを探し道筋を見つけようとするという行為そのものが好奇心であり、自分たちの作品作りだ」と語りました。
最後にシュチ監督はビデオメッセージで「好奇心とは生きる原動力になるもの」と回答。「好奇心があるから生きていると実感できる」と続けました。
井上咲良さんが感じる「好奇心」の多様性
発表会当日に26歳の誕生日を迎えられた井上咲良さん
10/2が誕生日の井上咲良さんを祝う黒田
発表会の後半には、応援大使として井上咲良さんがゲスト登壇。
まず「コクヨといえば文具のイメージが強かったため、映画を制作したことに大変驚いた」と率直な感想を述べました。映画の内容は文具にまつわるポップなものではなく「見ていくうちにコクヨであることを忘れるほど全く別の世界だと感じ、良い意味で裏切られた」と評価。
さらに、3作品すべてが同じ「好奇心」というテーマで描かれているのを見て、好奇心の多様性に気づかされたと語りました。井上さんは「興味を持って何かを知ることだけが好奇心ではなく、悲しみや怒りなどの感情も好奇心の一つ」だと捉え「そういった細かい好奇心をちゃんと拾ってあげられているかな」と自問。最終的に「自分の中の大きい好奇心も、小さい好奇心も拾ってあげたいという気持ちになる作品だった」と、トークを締めくくりました。
今後も短編映画に関する皆さんの好奇心を刺激する情報をお届けしてまいりますので、どうぞご期待ください。