仕事終わりに乾杯! 社内BARから広がるコミュニティの輪

働き方や暮らし方の参考になるような、コクヨの社員や取り組みを紹介する「WORK&LIFE sample」。今回は、社内BARを運営する坂内辰徳さんに社員交流を活性化する工夫や課題感を伺いました。

  • photo: Go Kakizaki
  • edit: Wakana Yamazaki
  • interview & text: Miho Oashi

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Profile

坂内 辰徳

コクヨ株式会社
グローバルワークプレイス事業本部 ものづくり開発本部

2020年入社。2023年に社内BAR〈BANNAI’S BAR〉を立ち上げる。さらに、夜のオフィスを再活用する企画「The Night Office」も始動。社員同士の相互理解を深める場づくりに取り組んでいる。

社員が楽しく働くために自ら企画した〈BANNAI’S BAR〉

〈BANNAI’S BAR〉ってなんですか?

僕が不定期で主催している社内BARです。「坂内のBAR」なのでそのまま〈BANNAI’S BAR〉。オフィスの一角にある使われていないキッチンカウンターを活用するかたちで、週1回程度、お酒やノンアルコールカクテル、ちょっとしたスイーツなどを500円の飲み放題で提供しています。お客さんはコクヨか関連企業の社員か、社員が招待した外部の方。サークルなどと同じ自主活動なので、皆さんの寄付やボランティアなどで運営できています。

なぜ社内BARをつくったのですか?

社員同士の交流と相互理解を深めるために始めました。というのも、会社に入ってから気付いたのが、社員同士のつながりが薄いこと。これはコロナ禍ということもありましたが、そもそも企業って所属人数のわりにコミュニケーションが少ない気がするんです。それが原因で、例えば社内で得られる情報が偏ってしまったり、働いていても会話が少なくてどこか味気なさや寂しさを感じたり、社員一人ひとりが持っている得意なことやスキルが周囲に知られず、発揮する機会を得にくいといった課題が生じているのではないかと思ったのです。また、何か新しいことを始めたい時にも、誰がどんなスキルや興味を持っているかわからず、仲間を見つけづらいということも起こります。組織視点でも、多様な視点が交わりにくく新しいアイデアが生まれにくかったり、社員の能力が見えづらく適所適材が難しいといった課題も生じると思います。

そうした課題を解決するためには、実際に人と人とが接触しお互いを知ることが大事だというところからまずは“場”を提供しようと考えました。カフェや軽食なども検討しましたが、BARという形態が一番気軽でいいのではと思い、〈BANNAI’S BAR〉を始めることにしました。決して自分がお酒好きだからじゃないんですよ(笑)。実は僕はほとんどお酒が飲めません。

社内BARがスタートするまでの経緯を教えてください。

入社したのがコロナ禍だったこともあり、1年くらいは同期とも上司ともまともに会えないような状況でした。「このままじゃまずい」という漠然とした危機感のようなものがあり同期と「一緒に何かやろう」という話をずっとしていました。当時はほとんど在宅だったため、興味やアイデアが自分の好きなものに偏りすぎたり、そもそも仕事の仕方がわからないというような悩みを持っていました。誰かと情報を共有したり、雑談をしたい、接点を持ちたいという気持ちがあったと思います。

そんななか、最初に企画したのが「わらしべロッカー」というものです。社内に社員ならだれでも開け閉めできるロッカーがあって、それを面白く使えないかと思ったんです。ロッカーにお土産が入っていて、開けた人はそれを受け取る代わりに、自分も何かお土産を入れておくという仕組み。これを機に社員同士にコミュニケーションが生まれるのではと考えたのですが、実際にはそこまでうまく機能しませんでした。そこで、次なる一手として始めたのが社内BARです。キッチンカウンターはもともと社内にあったのですが、特別なイベント時にしか使われていないという状況でした。自分が考えていた「交流を生み出す場」に最適だと思い、すぐに企画書を書いて総務に持って行ったんです。総務の方には「面白いんじゃない」といってもらえて、無事スタートすることができました。新しいことを始めることに寛容な会社だと思いますね。

社内BARを社員同士の交流と相互理解の場に

社内BARをやってみて感じる成果は?

まだ始めて2年半弱なので、完全には答えが出ていませんが、入社したての頃にBARで繋がった人といまだによく交流しているという方や、全然違う部門の人から新しい視点を貰うことで企画がアップグレードできたという方、BARで居合わせた「社内人材を探している部長」と「異なる部署の若手」が気軽な会話をきっかけに、協働に発展した例もあります。BARに社内の人だけでなくお客様や近隣の企業の社員さんが来てくださることが増えましたし、僕自身つながりが増えて働きやすくなっています。

ただ、やはりそれに伴って課題も出てきました。それは、どうしてもBARという形式上、お酒の飲めない人は利用しづらく、交流が限定されてしまうこと。また、これは僕自身での課題でもあるのですが、通常業務が忙しく、毎週BARに立つのが難しくなってきています。そこで、僕以外の人もイベントを開催できるように「The Night Office」という取り組みを始めました。これは、夜のオフィスを活用する目的で、さまざまな催しを開催するプロジェクトです。イメージとしては、「The Ngiht Office」の枠組みの中に〈BANNAI’S BAR〉があるという感じです。いろんな人がイベントを企画した方が、交わるコミュニティに厚みが出て、結果的により多様な交流を生み出すことができるのではないかと考えています。現在はモルック※会やスナック、居酒屋などさまざまな催しが企画されています。

※木の棒を投げて、木のピンを倒す、フィンランド発祥のゲーム。

今後〈BANNAI’S BAR〉でやりたいことは?

今のBARの場所は少し奥まったところにあるので、もっと人通りの多いエレベーターホールの真ん前などに移動したいです。毎日通るところにあれば、お酒好きな人以外でも立ち寄ってくれるんじゃないかなと。その際に、テーブルにさまざまなコンテンツを置いておいて、誰でも見たり、参加できるようにしたいです。たとえばそれがボードゲームや野球中継が流れているテレビ、テレビゲームでもOK。共通の趣味を持つ人同士、自然に会話が生まれるのではと思っています。

いつの間にか増えていったBARを手伝う同志たち。

Qお店を手伝ってくれているメンバーを紹介してください。

坂内

社内BARを始めて1カ月ほどで、後輩が運営を手伝ってくれるようになりました。注文を効率化させた方がいいと、注文アプリをつくってくれたんです。さらに半年後くらいには広報を手伝ってくれる方も現れて、他にもグラスを洗ってくれたり、お酒をつくってくれたり、皆さんのボランティアで成り立っている感じです。大嶋さんもBARを手伝ってくれているメンバーの一人。大嶋さん、BARに来るきっかけって覚えていますか?

大嶋

社内のSlackに投稿されていた告知を見て、気になって一人で来た覚えがありますね。会社でお酒を提供するなんて、そんな取り組みをやっている人がまずいないし、しかもすごく若い人が企画しているらしいと。そのうえ、BARの目的は交流のためだと聞いて、言い方が悪いかもしれないけれど、自分の時間を割いてやっているわけじゃないですか。これは一体どういうことなんだろう?と(笑)。すごい人がいるなっていう興味本位ですね。

坂内

BARに初めてきた時の印象ってどうでしたか?

大嶋

面白いなと思いましたよ。BARはフロアの端っこにあるから、来たい人しか来られないじゃないですか。仕事帰りにちょっと飲みたい人とか、たまたま誰かに連れてこられた人とか。BARでしか会わない人も結構いるし、仕事の話だけじゃなくてプライベートな話ができるのが面白いですよね。

坂内

なぜ手伝おうと思ったんですか?

大嶋

坂内さんの考えに共感したからです。社内でもいろんなところにコミュニティはあるんだけど、なかなか広まらなかったり、コミュニケーション自体が希薄だなというのは僕も感じていたことだったので。僕が加わることで、ちょっとでも交流の輪が大きくなればいいなと思ったというのが理由のひとつです。それに、19時から始めて22時にBARが終わったら、坂内さんが片付けをして家に帰るのともう1日が終わっちゃうじゃないですか。そうするとなかなか自分の時間って持てないですよね。そこにたとえば僕が月1回でも入ることで、少しでも坂内さんの負担が軽くなればいいなと、そんな理由からです。

Profile

大嶋 正和

コクヨ株式会社
グローバルワークプレイス事業本部 建材ビジネス本部

2007年入社。BANNAI’S BARを利用したことがきっかけで坂内さんと知り合う。現在は坂内さんがBARを開けない時など、代打でカウンターに立っている。

職種や役職を横断したコミュニケーションが叶う。

QBANNAI’S BARに来たきっかけは?

永井

坂内さんとは昨日知り合いました。「ハナシカケル」という社内の他部署の人たちとランチ会を自動でセッティングする企画を実施しているのですが、たまたま坂内さんとマッチして一緒にごはんを食べました。BARのことを聞いて、来てみようかと。

竹富

坂内とは同じ部署の同僚なんですが、今までなかなかBARに来るチャンスがなく、今回が初めてです。

永井

〈BANNAI’S BAR〉は交流を目的としたプロジェクトだと聞いていたので、せっかくなら誰かと話そうと思って、ちょうど一人だった竹富さんに声をかけてみました。

竹富

永井さんの部署とは普段関わることがないので、仕事の情報交換ができて面白かったです。

Profile

永井 弘起

コクヨ株式会社
グローバルエンタープライズ本部 情報システム部

竹富 研太

コクヨ株式会社
グローバルワークプレイス事業本部 ものづくり開発本部

QBANNAI’S BARの魅力を教えてください!

坂内くんとは同じ部署で仕事をしていたので、ここができた当初から通っています。500円で飲み放題なので、「ちょっと一杯飲んでいこうよ!」と人を誘うのに重宝していますね。今日もこうやって元上司の永井さんを連れて来ました。

永井

本部とか事業を横断して話ができるのはいいですよね。いちいちどこの部署だなんて聞かないけど、若い世代が会話しているのを聞いているだけでも楽しいですよ。

Profile

永井 潤

コクヨ株式会社
グローバルワークプレイス事業本部 ビジネスディベロップメント本部 副本部長

谷 尭浩

コクヨ株式会社
グローバルワークプレイス事業本部 ものづくり戦略本部 顧客コミュニケーション企画部