COLUMN03

ヒト・モノ・コトをつなぐ
北海道の“出島”

EZOHUB TOKYO

北海道を中心に約200店舗のドラッグストアや調剤薬局を構える「サツドラ」を展開する株式会社サッポロドラッグストアー様。
1972年の創業以来、北海道の地域医療の担い手として道民の健康を支えてきました。
そんなサッポロドラッグストアーは現在、「北海道から日本を元気に」という想いのもと地域コネクティッドビジネスを推進しています。
地域と、ヒト・モノ・コトをつなぐ場として2020年には「EZOHUB SAPPORO」がスタート。
2024年には、北海道と東京での産業創出を加速させるべく「EZOHUB TOKYO(エゾハブ トーキョー)」を、東京・天王洲に開業しました。
元々は他社の食堂だった場所を「EZOHUB TOKYO」としてリノベーションした本プロジェクト。
サッポロドラッグストアー担当者の満留様とコクヨ担当者の髙橋が、プロジェクトの発足から完成まで、そして「場」がもたらした効果を語ります。

  •  

    満留 真章

    MITSUDOME NAOAKI

    株式会社サッポロドラッグストアー 店舗開発本部
    EZOHUB事業担当 マネジャー
    「EZOHUB SAPPORO」の立ち上げにも関わる。
    今回「EZOHUB TOKYO」プロジェクトの立ち上げ・運営を担当。

  • インタビュアー

    髙橋 絵里

    TAKAHASHI ERI

    コクヨ株式会社
    グローバルワークプレイス事業本部
    ビル・エリアリノベーション室

CHAPTER 01

「北海道の出島」として、
東京で北海道らしさを
感じる空間に

――まず、「EZOHUB TOKYO」プロジェクト発足の経緯を教えてください。

満留様

2020年に「EZOHUB SAPPORO」を設立した時から「北海道の出島」として東京にも拠点を作りたいという構想がありました。経営層が水面下で物件を探す中、天王洲を拠点とする寺田倉庫さんと繋がりました。寺田倉庫さんはこれまで天王洲をアートの街としてブランディングされてきましたが、今度はスタートアップの街にしていきたいという構想があったそうで、その点が弊社の方向性と合致したのです。そこでこの物件を紹介していただき、プロジェクトが始動しました。
また、コクヨさんにEZOHUB TOKYOプロジェクトの話をしたところ、共感いただいてリノベーション設計に協力してもらうことになりました。

髙橋

東京の中でもあえて天王洲に拠点を置いた理由はあるのでしょうか?

満留様

元々は別の場所も検討していたのですが、なかなかイメージに合う物件に出会えませんでした。EZOHUB TOKYOには「北海道を舞台にした新たな課題解決の可能性が生まれる場」という機能を持たせたくて、東京でありながら「北海道らしい空間」を求めていました。 だから都心の中でも高層ビル群の中や、オフィスビルの一室に置くのはちょっと違うという想いがありました。

床から天井にかけての色は、北海道の大地をイメージしたグラデーションになっている

髙橋

その想いが、施設のコンセプトにも現れていますよね。

満留様

そうですね。東京にいる「北海道のサービスを利用したい」「北海道に関わりたい」という人たちが集う場所にしたかったので、「東京に現れた北海道」がEZOHUB TOKYOのコンセプトです。実際、EZOHUB TOKYOの6つの個室のうち5つは北海道の企業様が入居しています。まさに北海道と東京をつなぐ場所になっています。

会議室には北海道の動物の名前

棚には北海道江別市にある日本最北のレンガ工場の煉瓦を使用

エゾシカのアート作品や、北海道に関連する書籍

フォトスポットにもなるEZOHUB TOKYOロゴ

ロゴの後ろには北海道の全自治体の名称が書かれている

CHAPTER 02

EZOHUB TOKYOでは
年間70件のイベントを開催し、
延べ約2400名が来場

髙橋

利用者様からはどんなお声をいただくことが多いですか?

満留様

デザインをよく褒めていただきます。Web会議が当たり前の世の中でリアルの場を運営する際、空間デザインが「行きたくなる理由」として非常に強いことをこれまでの経験で強く感じていました。特にEZOHUB TOKYOは認知ゼロからのスタートです。決して低くないハードルだったと思いますが、コクヨさんにお願いしたからこそ「行ってみたい」と思わせるデザイン性が実現できたと感じています。

髙橋

実際どれくらいの方が利用されたのでしょうか?

満留様

昨年一年間で約70件のイベントを開催し、延べ約2,400人の来場者がありました。

髙橋

認知度が無い状態からのスタートでそのイベント数は素晴らしいです。どのようなイベントが多いのでしょうか?

満留様

ほとんどが北海道関連のイベントです。基本的にはEZOHUBの企業・自治体会員様が主催されるケースが多いですね。中には共催というかたちで私たちが企画や集客をお手伝いすることもあります。自治体同士の横のつながりや、影響力のある方のご紹介でイベントの開催件数が増えていると感じます。

およそ50席のワークスペース。イベント時には100人収容可能

CHAPTER 03

社会課題解決のために、
「ヒトをつなぐ」運営の工夫

髙橋

ヒト・モノ・コトをつなぐ「ハブ」としての役割を果たすために、どのような運営をされていますか?

満留様

積極的に「つなぐこと」を意識して、僕らがいるからこその出会いを作っています。よくある例だと、北海道から自治体の首長さんや職員さんが来られた時に個室の会員さんにお繋ぎする、などでしょうか。
EZOHUB TOKYOでは、自治体や企業様が年間契約をしていただいています。そういう方々は必ずしもコワーキングスペースを使うためではなく、北海道でサービスを展開したり、道外でPRをしたり、政策を相談したりするために参加していただくことが多いです。そこを解決するために人と人を繋ぎ、さらに実際にプロジェクトとして形にしていくところまでを目指しています。

髙橋

実際に生まれたプロジェクトについても教えてください。

満留様

例えば「エゾクラス」という、地方創生に興味のある都内の学生さんたちと北海道の自治体や企業をつなぐ取り組みが生まれました。EZOHUB TOKYOで20人ほどの学生を集めて、北海道の企業とのマッチングイベントを開催し、昨年はインターンシッププログラムまで発展させました。
また最近は、外国人就労に関するプロジェクトも進めています。まずは都内で、日本で働きたい外国人支援の会社、物流会社と連携して、外国人ドライバーの採用・育成プログラムを作りました。これを北海道でも展開するべく、札幌や旭川の企業と連携し、外国人を受け入れる体制を整えています。

髙橋

EZOHUB TOKYOの開業は、御社の採用や広報活動への影響もありましたか?

満留様

ありましたね。東京でこうした事業をしているということ自体がPRになっていると感じます。物理的な面では、これまでWebで開催していた東京の学生向けのインターンシップをリアルで開催できるようになりました。訪れた学生にどのような印象を持ってもらうかという意味でも、空間が持つ役割は大きいと感じています。

CHAPTER 04

「ハブ」としてつながりを作り、
新しいプロジェクトを
生み出していきたい

髙橋

EZOHUB TOKYOで今後挑戦したいことややってみたいことはありますか?

満留様

やはりこの場所で繋がったことで生まれたプロジェクト事例をたくさん作っていきたいです。

髙橋

サッポロドラッグストアー様のように、リノベーションを通じて社会課題の解決を目指す企業様へのアドバイスをお願いします。

満留様

空間に求めることをできるだけ明確にすること、です。成し遂げたいことがあって、現状があって、そのギャップを埋めるために何が必要か、その際に空間に期待することは何かを考える。例えば、EZOHUB TOKYOは「北海道の出島」として、北海道の人や企業と東京をつなぐ場所です。そのために必要な要素を考え、建築に落とし込んでいきました。「ありたい姿」と「建築で実現したいこと」をしっかり伝えられると、良いプロジェクトになると思います。

髙橋

おっしゃる通り、サッポロドラッグストアー様はその点がとても明確でした。だからこそ素晴らしい建築にできたと感じています。

PROJECT DATA
所在地東京都品川区
竣工2024.05
規模430㎡
施主サッポロドラッグストアー
設計コクヨ 髙橋絵里 青木耕治 コクヨ北海道販売
協力 設備設計 コクヨ 石井宏侑
アート motoka watanabe
サイン HYPHEN
施工コクヨ

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