NEW GENERATION 賞
NEW GENERATION 賞は、
コクヨデザインアワード2026の全応募作品の中から
学生の応募作品を対象とし、
商品化を前提とせず、
アイデアや着眼点に魅力がある作品を選定し、
次世代を担う若い世代の次なる挑戦を
後押しする目的で設定されました。
NEW GENERATION 賞
- 作品名
- 消しゴムドロップス
- 作者
- 枇杷原 咲、文山 野衣、山田 啓一朗、横井 優里奈、吉村 敬太
作者コメント
テスト直前に消しゴムを忘れたことに気づいた時の、あの血の気が引くような焦り。そんな日常の小さなピンチを、カバンの底から出てくる「あめちゃん」のような温かさで救いたいと思い、この「消しゴム ドロップス」をデザインしました。個包装にすることで、自分のお守りとして「ぽとん」とカバンに忍ばせたり、友人にメッセージを添えてお裾分けしたりできます。機能性だけでなく、そこから生まれる「助け合い」や「優しさ」の輪の連鎖まで含めてデザインしました。
評価コメント
個人的な体験を出発点に、プロダクトを通じて人の優しさや気遣いを引き出す点に惹かれました。受験生の娘が仲間と励まし合う姿と重なり、使われる場面が自然と浮かびます。まさに「あったらうれしい」を形にした、手にする人に静かな前向きさを届けてくれる素晴らしい作品だと思いました。
- 作品名
- Xterminotes
- 作者
- Ma Kwan Lam
作者コメント
ホッキョクグマを含め、絶滅の危機に瀕する動物が増えています。「絶滅ノート」は、その現実を各ページを通じて伝えます。最初は健康なホッキョクグマから始まりますが、ページをめくるごとにクマは痩せ細っていき、最終的には姿を消します。ページをめくるたびに、人間の活動と他の生命の生存との間にある繊細な境界線が響きあい、ノートとは何かという従来の理解に疑問を投げかけると同時に、さりげない教育的媒体でもあることを示します。
評価コメント
地球温暖化による命や多様性の喪失を、アナログなパラパラ漫画で伝える手法はシンプルで秀逸です。ノートという身近な道具にメッセージを込めることで、使う人の意識や行動を変え、「命を慈しむ温かい世界づくり」に寄与する可能性を感じます。世代を問わず響くアイデアだと思いました。
- 作品名
- Trace of time
- 作者
- Ma Kwan Lam
作者コメント
ほとんどのカレンダーでは、時間が一度に表示されます。時間の痕跡は、空白のページから静かに始まります。数字は紙に押し付けられ、静かに、目に見えない状態で待機します—記入する、という選択がなされるまで。この静寂の中に、時間そのものが隠されているのだと私は信じています。一日一日は、記念する決めたときにのみ現れ、現在を大切にし、意思を持って未来を形づくることを促します。
評価コメント
時間を「待っているもの」と捉える発想が新鮮です。空白から始まり、書き込むことで一日が現れる仕組みは、能動的な時間への向き合い方を教えてくれます。使う行為そのものが使い手の内面に働きかけるデザインは、私たちの考える体験にも通じるものがあり、非常に思慮深い作品だと思いました。
- 作品名
- ひらがなび
- 作者
- 杉 明香里
作者コメント
「ひらがなび」は、ひらがなの書き順に沿って球が転がる知育玩具である。子どもは球の動きを目で追いながら、遊びの中で自然に正しい書き順に親しむことができる。「どうつながっているのだろう?」という驚きや発見は、子どもの想像力や探究心を刺激し、遊びと学びが一体となった新しい体験を生み出す。
評価コメント
この作品から、子供が好奇心のままに白い球で遊ぶ光景が浮かびました。子供の純粋な好奇心は、大人にない発見をくれる大切なものだと再認識させられます。アルファベットへの展開や、使う人を選ばない包容力に、誰もが可能性を広げられるワクワクと、波紋のように広がる豊かな可能性を感じました。
- 作品名
- Drip Note
- 作者
- 平瀬 ノイエ、茂木 秀斗、山口 裕土
作者コメント
考えていたはずのことが、振り返ると残っていない。思考は結論だけでなく、過程や仮説にこそ価値がある。けれど、ノートはつい「きれいに書こう」としてしまう。本作品は、メモとノートを融合させた思考可視化ノートである。まず周囲の余白にそのまま考えを書き出す。思考が纏まると、中央の逆三角形に要点を書く。そこから新たな発想が生まれ、再びメモへ。この循環により、思考の流れと時間が1枚のページに残る。
評価コメント
もやもやした思考や絵、セリフを周囲に広げ、中心には揺るぎない核心を記す。真ん中の罫線と周囲の余白が、「まとめる」と「広げる」の両面から思考を誘います。創造的なプロセスが宇宙のように広がっていく、その表現に惹かれました。使う人の思考に寄り添い、可能性を引き出す魅力的なノートです。
- 作品名
- ひとやすみ
- 作者
- Liu Chia-Yi
作者コメント
「ひとやすみ」は、ただの椅子ではありません。都市のリズムから離れ、自然と再びつながるための「軽やかなパスポート」です。高層ビルの間でも、ビーチでも、静けさに導く入口として機能します。巻き取り可能な生地とモジュラーフレームを採用したこのデザインは、ピクニックシート、折りたたみ椅子、デッキチェアへと姿を変え、あなたの心により近い目的地へと導きます。
評価コメント
都市生活に安らぎを添える、素晴らしいプロダクトです。単なる道具に留まらず、広げた瞬間に自然への扉を開くような情緒的体験に惹かれました。特に椅子やシートへと姿を変える組み替え構造が秀逸です。あらゆる場所で自然との接点を軽やかに生み出す、使う人の心に寄り添う素敵な作品だと思いました。
- 作品名
- Ambient Clock
- 作者
- 杉江 立
作者コメント
私は早朝や夕暮れ時など、その時間にしか味わえない独特な空気感や雰囲気が好きです。「Ambient Clock 」はその時刻の空気感や雰囲気を色で表示する時計です。表示する色は時間の流れとともにシームレスに切り替わります。同じ時刻でも季節によって明るさや気温が異なり、それにより生み出される雰囲気が色としてこの時計に反映されます。時刻を具体的な数字ではなく色で認知することにより日々時間に追われている現代人に落ち着きを与えます。
評価コメント
「時計は時間を正確に示すもの」という概念を覆す作品に衝撃を受けました。せわしない日常で空を見上げる余裕もない中、この時計は空の青さや夕焼けの美しさを思い出させてくれます。あえて数字ではなく空の色で時間を表現することで、見る人にゆとりを与えてくれる素晴らしい作品だと感じました。
- 作品名
- 指文字クリップ
- 作者
- 大本 菜々子
作者コメント
日本語の50音を指の形で表す「指文字」をモチーフにしたクリップ。指文字は、手話の中でも簡単な会話や意思疎通を可能にする基礎的な表現であり、日常的に使う文房具を通して、手話への関心や親しみを促すことを目指した。従来のクリップに指文字の要素を加えて向きを正しく認識できる形状とし、行ごとに異なる色を用いることで文字の違いを直感的に判別できるように工夫している。手話を特別な言語として切り離さず、自然に触れるきっかけとなることを意図している。
評価コメント
学生時代に夢中でクリップをハート型に曲げた懐かしい記憶が蘇りました。紙をまとめる道具が「指文字」という形になることで、新たな価値へ変化していることにワクワクします。カラフルな指文字が好奇心を刺激し、手話を身近にしてくれる、人と人をつなぐ温かい未来が見える作品だと思いました。
- 作品名
- 完成の跡
- 作者
- Chen Zifan、Gao Keran
作者コメント
すべてのタスク完了とメッセージ伝達を、一つの小さく美しい「儀式」に。私たちは、生活の中の「小確幸」が大きな力を生むと信じています。付箋を一枚はがすことは、タスクを終え、ご褒美に「花まる」をもらうような体験です。それは人々の学習と仕事に、常に前向きな力を与え続けます。
評価コメント
日々のタスクを終えた際、私たちは完了したことを消し去る作業に終始しがちです。この作品は、そんな瞬間に「花丸」を添える尊さを気づかせてくれました。たとえ詳細な記憶が薄れても、懸命に取り組んだ証が温かく残る。その光景が非常に素敵で、心に深く響く素晴らしい発想だと思いました。
- 作品名
- 磨く消しゴム
- 作者
- 森 頌真、東郷 荘太郎
作者コメント
消しゴムは、角を失うたびに、その価値を失っていく。磨く消しゴムは、その「削れる」という行為を、価値の喪失ではなく、新たな価値が生まれる「発見の瞬間」として再定義する。モチーフは、悠久の時を経て生まれる堆積岩。間違いを消すたびに、この消しゴムは磨かれ、美しいものになっていく。これは、試行錯誤のプロセスそのものを肯定する、新しい創造の道具です。
評価コメント
「消しゴムは角にこそ価値がある」という常識を覆し、丸く磨くことで新たな価値を見出すコペルニクス的転回のアイデアに驚きました。使う人次第で異なる形に育っていく過程は、道具への深い愛着を育んでくれそうです。既存の概念にとらわれない、新しい喜びを教えてくれる素敵な発想だと思いました。