Vol.36 EVENT REPORT

インクルーシブデザインを社会に繋ぐコミュニティ。「HOWS DESIGN COMMUNITY」プレキックオフイベントレポート

掲載日 2026.02.13

(ALT始まり)落ち着いた風合いの木製の壁にピンク色のネームプレートがつけられている会場の様子。プレートには「THE CAMPUS HALL “CORE”」と彫られている。奥に見える会場はやや照明が落とされた落ち着いた雰囲気。(ALT終わり)

2025年12月17日、コクヨ品川オフィスにあるカンファレンスルーム「CORE」にて、HOWS DESIGN COMMUNITY(ハウズ デザイン コミュニティ)のプレキックオフイベントが開催されました。

HOWS DESIGN COMMUNITYとは、大企業やNPOや大学法人などの多様な仲間と共に「インクルーシブデザインの活動を通じて、社会のバリアを減らすことを実現するためのチーム」を目指すコミュニティです。

重視するのは、「全員が同じ立場で意見をし、共に作り上げていく」というあり方。そのためにも、オープンな対話を大切にしながら実践に繋がる関係性を構築し、互いに信頼しあうチームのようなコミュニティになっていくことを目標に掲げています。

2026年3月頃から本格始動することを目指して活動する中で、今回はそのメンバーになるかもしれない35名の参加者と共に、HOWS DESIGN COMMUNITYのあり方を体感・体験してもらうためのイベントを開催しました。

この記事では、その様子の一部をお届けします!

「HOWS DESIGN COMMUNITYって、どんなの?」を体験してもらう日。

肌を刺す冷たい風が吹く12月。ランチタイムを過ぎた頃、カンファレンスルーム「CORE」には、大きなスクリーンに対して扇形に並ぶ多様な形の椅子と、思い思いの席に着座する人々の姿がありました。

集ったのは、コクヨがこれまでに出会ってきた、DE&I(Diversity, Equity & Inclusion / ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に対する想いを持つ担当者や実践者、研究者の方々。すでに顔見知りの方もいる雰囲気の中で、穏やかな熱気に包まれながら、HOWS DESIGN COMMUNITYのプレキックオフイベントが始まりました。

今回のイベントは、メンバーとなるかもしれない人たちの空気感やコミュニティ自体の雰囲気を感じとってもらうことと同時に、コミュニティの中で起こり得る4つのステップを簡易的に体験してもらう時間として企画をおこなっています。

▼HOWS DESIGN COMMUNITYで起こり得る4つのステップ
・インクルーシブデザインの学びと実践
・フィールドワークによって気づきを深める
・内省し多様性について見つめる
・多様なセクターの連携と社会変化へのアクション

——15:00 Academia Dialogue 基調対談&プロセスの共有

開場後、最初のプログラムとして用意したのはAcademia Dialogue(アカデミア ダイアローグ)です。この日、この場所に集まった多様な実践者の持つ知見や経験を分かち合い、互いに気づきを得るための時間として、まずは基調講演ならぬ基調対談として、コクヨ以外の参加者からもお話をいただきました。

白鳥 真衣子さん
パナソニック株式会社 デザイン本部 / ふつう研究所

(ALT始まり)登壇者の1人、しらとりまいこさんが椅子に座り、スクリーンの前でマイクを持って話す様子。肩に触れるくらいのボブヘアは暗い茶髪がベースで、襟足にかけて金髪のグラデーションがかかっている。黒地に赤や青や緑のカラフルな模様が華やかなトップスに、パールのアクセサリーを重ねている。(ALT終わり)

三宅 琢さん
公益社団法人NEXT VISION 副理事長

(ALT始まり)登壇者の1人、みやけたくさんがスクリーンの前に立ち、マイクを持って話す様子。後ろのスクリーンには白衣姿のみやけさんが映っている。グレイヘアのすっきりとした短髪、落ち着いたグレーのニットにデニムという服装。(ALT終わり)

寺田 ユースケさん
株式会社HELPUSH 代表取締役CEO

(ALT始まり)登壇者の1人、てらだユースケさんが電動車椅子に座りマイクを持って話す様子。白鳥さん、三宅さんが同じ壇上でてらださんの話を聞いている様子が一枚に写されている。長めの前髪をセンターで分け、白いトップスに黒のパンツとスニーカーでカジュアルな服装。(ALT終わり)

宮澤 典友さん
株式会社カウネット 代表取締役社長

(ALT始まり)登壇者の1人、みやざわのりともさんが椅子に座りマイクを持って話す様子。白いカットソーに紺色のパーカーを羽織り、デニムパンツを合わせているカジュアルな服装。隣には同じく登壇者のたかぎさんが話を聞いている様子も写っている一枚。(ALT終わり)

高木 梨帆さん
コクヨ株式会社 GWP事業本部 サーフェイス開発部

(ALT始まり)登壇者の1人、たかぎりほさんがスクリーンの前で椅子に座り、マイクを持って話す様子。ストレートのショートボブに黒色のニット、白いパンツを合わせた服装で、微笑みながら話をしている。隣には同じく登壇者のみやざわさんが上着を脱いだ状態で話を聞いている様子が写っている。(ALT終わり)

立場や所属先が異なるそれぞれの視点や経験からのDE&Iに関するお話は、どれも学びや気づきを含むものばかり。その中でも共通して話されていた内容のひとつに「当事者自身も気づいていない点を共に見つけること、気づくこと」の価値がありました。これは今後DE&Iを推進する場面で、ただのヒアリングで終わらない共創を目指すためにも重要な視点です。
トーク中は共感する内容も多かったのか、聞き手も熱心にメモをとり、頷きながら話を聞く様子が印象的な時間になりました。

(ALT始まり)登壇者の話を聞く参加者の人々。性別や年齢や服装は様々。手元のノートやパソコンでメモをとっている人もいる。(ALT終わり)
(ALT始まり)会場全体の様子。前にある大きなスクリーンは扇形になっていて、どの席からも見えやすい。参加者の座る椅子もソファや椅子など多様になっている。(ALT終わり)

さらに、当日出席はされていなかったものの、今回お声がけしていた東京大学 先端科学技術研究センター教授の熊谷 晋一郎さんからいただいたビデオメッセージも投影し、その内容にも皆さん真剣に耳を傾けていました。

(ALT始まり)くまがいしんいちろう教授からのビデオメッセージがスクリーンに投影されている様子。画面下には英語で字幕が表示されている。(ALT終わり)

その後、約3年間インクルーシブデザインを実践してきたコクヨから、そのプロセスや事例について、また失敗談についても赤裸々にお伝えする「気づきの共有」の時間を設けました。
失敗や悩みも含めてオープンに対話できる、そんなコミュニティを目指すために、まずは私たちからオープンな対話の姿勢を始めていきます。

(ALT始まり)スクリーンの前に座る5名のコクヨ社員の登壇者たち。男女年齢は様々で、服装はカジュアルな人が多い。スクリーンには「ハウズデザイン事例 コクヨのしくじり先生たち」という文字が表示されている(ALT終わり)
——16:25 Academia Dialogue ミニインクルーシブデザイン

休憩を挟んだ後は6つのグループに分かれ、簡易的にインクルーシブデザインを体験できるコンテンツを実施しました。3名のリードユーザーの方にも参加してもらい、THE CAMPUS内を実際に歩きながらの行動観察と対話を経て、各グループの気づきを全体に共有します。

実際のインクルーシブデザインとは異なる短時間で、あくまでも「体験」という形での実施にはなりましたが、それぞれに気づきがあったり、関係性が深まったりする様子がありました。

(ALT始まり)登壇もされていたてらだユースケさんがグループメンバーと共にオフィスを巡って話をしている様子。(ALT終わり)
(ALT始まり)リードユーザーの男性、ひがしのさんの声に、グループメンバーの男性が体を寄せて耳を傾けている様子。(ALT終わり)
(ALT始まり)マスクをしたリードユーザーの男性、まさじまさんがグループメンバーと共に階段を登っている。(ALT終わり)
(ALT始まり)グループごとに着座し、気づきや疑問について話し合う参加者たちの様子。女性が笑顔で話す姿が写っている。(ALT終わり)
(ALT始まり)グループで着座して気づきを共有する参加者たち。7名がひとつのテーブルを囲んで話し合っている様子。(ALT終わり)

その後、Academia Dialogueのクロージングとして、HOWS DESIGN COMMUNITYについての構想を共有し、改めてコミュニティへのお誘いを投げかける形で第一部は終了しました。

——18:00 WAIGAYA Dialogue

第二部のプログラムは、WAIGAYA Dialogue(ワイガヤ ダイアローグ)。ドリンク片手に、会場にいる皆さんと自由に対話を楽しんでいただく時間です。

DE&Iやインクルーシブデザインについて志ある面々が集っている貴重な場となったこの日。せっかくの機会にぜひ繋がりを持ってもらいたいと考えて企画をすると共に、HOWS DESIGN COMMUNITYが大切にしたいと考えている「プロセスも楽しむ」という雰囲気を体感していただけるような時間になればと考えていました。

(ALT始まり)紙コップを片手に乾杯をする参加者たち。表情は柔らかい。(ALT終わり)

ケータリングは、美味しいパンとホットドリンク。会場の温度も少し上がったように感じるくらい、皆さんそれぞれが活発に対話を楽しんでいる様子がありました。

(ALT始まり)ケータリングで用意されていたパン。色々な種類のパンがスライスされて木製のトレーに並べられている。(ALT終わり)
(ALT始まり)ケータリングを選びながら会話する参加者の様子。(ALT終わり)
(ALT始まり)名刺交換をしながら会話する参加者の様子。落ち着きのある楽しげな表情で、手振りを加えて話をしている。(ALT終わり)
(ALT始まり)笑い合う参加者たち。イベント中とは会場の雰囲気も変わり、明るく開放感のあるオフィス空間で話をしている。(ALT終わり)

▼参加者の声(当日アンケートより一部抜粋)

インクルーシブデザインを切り口に事業活動をされていたり、中には半ば有志で活動を広げようとしている方たちがこんなにも沢山いらっしゃるんだということを知ることが出来た

「他社も同じような悩みを抱えている」と知ったことで、プロジェクトを推進する
大きな勇気をもらえた

各社の取組みや、それを遂行する人の想いや課題感なをを知ることで、自分の業務に活かせる知見が得られ、またモチベーションになりました

コクヨのみなさんがどんなチームで活動しているのか、雰囲気含めて知ることができた

このようなテーマを前向きに語れる「場」そのものに意義を感じました。熱量溢れる素敵なお時間を有難うございました!

インクルーシブデザインに取り組む企業の方々の熱量を感じて、当たり前にインクルーシブである世の中になぜならないのかと思うくらいみなさんの取り組みを必要とする方は多いと感じますし、知ってほしいと思いました。皆さんと一緒に意見交換しながら誰もが当たり前に同じ空間で過ごせる世の中にしたいと強く感じました。

「全員が同じ立場で歩むコミュニティ」として、楽しみながらその先に繋がる未来を目指したい。

HOWS DESIGN COMMUNITYは、ただ学ぶだけではなく、その先に多様な関係者との連携を実現させ、個人の変化から組織の変化へ、そして社会への変化へと繋げていくことを目指します。

だからこそ、企業のみならず、非営利組織やアカデミアや行政、学生や個人の方など、国内外を問わずあらゆる繋がりを構築して社会へのインパクトをもたらす未来を描いていることがひとつの特徴です。また、コクヨ社内だけでも、若手から役員まで、多様な立場からの参加を予定しています。

そうは言っても、場づくりを試みる私たちコクヨも、まだまだ発展途上です。インクルーシブデザインには固定された「正解」が無いことを前提に、何かを教えるのではなく隣で共に学び合う、全員が対等な目線で考え語り合う「信頼できるチーム」になることを目指し、コミュニティを運営していくつもりです。そのためには、「プロセスも楽しみながら学ぶ」という姿勢をいかに共有できるかどうかが重要だと考えています。

今回のプレキックオフではまだまだお互いのことを知り尽くせなかったと思うので、本格始動後はより濃密にお互いのことを理解しあう時間も生み出していくことができればと考えています!

HOWS DESIGN COMMUNITYの始動は、ここからです。

真摯に向き合い、気づきを共創し、社会に届くワクワクする瞬間を生み出していく——そんな私たちの取り組みの先に、あらゆる人々の暮らしの変化が訪れることを信じています。

(ALT始まり)帰り際、お土産を受け取るため列になって並びながら会話を楽しむ参加者たち。打ち解けた雰囲気でリラックスしている表情が見える。(ALT終わり)

取材日:2025.12.17
インタビュー:中西 須瑞化
執筆:中西 須瑞化
撮影:逍遥学派
編集・校正:田中 美咲、HOWS DESIGNチーム

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