AI・データで現場の課題を突破する。「KDA」season3 実践編プログラムの集大成
コクヨグループのデジタル人材育成・実践プログラム「KOKUYO DIGITAL ACADEMY(KDA)」のseason3の実践プログラムにおける集大成として、2026年1月21日、コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS(ザ・キャンパス)」内のオープンコミュニケーションホール「CORE(コア)」にて成果発表会「KDA-Lab SUMMIT」が開催されました。
今期の活動内容と、熱気に包まれた当日の様子をレポートします。
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INDEX
開催背景:「学び」を「実践」に繋げ、DX推進を加速
「KOKUYO DIGITAL ACADEMY(KDA)」は、コクヨの人材育成機関「コクヨアカデミア」の一環として2023年6月に開校しました。社員がデジタルリテラシーや専門能力を獲得し、既存の課題を自ら解決することを目指しています。
2025年12月時点で、延べ修了者数は1,743名に達し、国内社員の約21.7%が基礎講座を修了するなど、社内への浸透が順調に進んでいます。season3では、単なる知識習得に留まらず、生成AI活用やデータサイエンスの実践力を強化し、DX推進を加速させるための2つの実践プログラムを実施しました。
GenAI-Lab(ジェンエーアイ ラボ)
第2期までの「GPT-Lab」を刷新・進化させ、事業課題に対してAIを活用した解決策を構築することで、AI企画力・AIプロンプト力・AIマネジメント力を実践的に身に付けるプログラム。
DD-Lab(ディーディー ラボ)
データサイエンス分野の新たな実践プログラムとしてseason3より新設され、世界最大のデータサイエンス・機械学習のオンラインプラットフォーム「Kaggle」に挑戦するプログラム。
今回の「KDA-Lab SUMMIT」は、これら「Lab」活動の成果を全社に共有し、デジタル活用機運をさらに高めるべく開催されました。
【第1部】DD-Lab成果発表:世界に飛び込み、データの魅力を伝える
第1部では、「DD-Lab」の4チームが発表を行いました。
「DD-Lab」は、「世界に飛び込んで、壁の乗り越え方を知る」「データサイエンスの面白さを知り、魅力を伝える伝道師になる」という2つのゴールを掲げています。
彼らは、世界中のデータサイエンティストが精度を競い合う「Kaggle」の課題に挑戦し、データからビジネス価値を創出するプロセスを体験しました。未知のデータと格闘し、モデルの精度を追い求めた発表は、参加者にデータサイエンスの可能性を強く印象付けました。
各チームの参加コンペティション概要は以下の通りです。
A. Toxic Comment Classification Challenge(有害コメント分析チャレンジ)
インターネット上の悪意あるコメントを「脅迫」「侮辱」などの種類別に分類するAIモデルの精度を競うコンペティション。過度な検閲を防ぎつつ、各コミュニティの方針に応じた柔軟な対応を可能にし、健全な議論の場の実現を目指す。
B. Home Credit Default Risk(住宅信用債務不履行リスク)
信用履歴を持たない層に対し、電話利用状況や購買データなどの代替データからローン返済能力を予測する精度を競うコンペティション。返済能力があるにも関わらず融資を断られていた層を救い、最適な条件で安全な融資を提供することを目指す。
C. Crop Yield Prediction Challenge(作物収穫量予測チャレンジ)
土壌の質、雨量、肥料使用量などの農業データから作物の収穫量を予測する精度を競うコンペティション。正確な予測により、農家の資源最適化や廃棄ロス削減を支援し、持続可能な農業の実現を目指す。
D. Mercari Price Suggestion Challenge(メルカリ価格提案チャレンジ)
フリマアプリ「メルカリ」で、商品名や説明文、ブランドなどから適正な販売価格を予測する精度を競うコンペティション。システムが自動で適正価格を提案することで、出品者の値決めの悩みを解消し、取引の活性化を目指す。
【第2部】GenAI-Lab成果発表:事業の「イシュードリブン」で解決策を構築
第2部では、「GenAI-Lab」の5チームが発表を行いました。
経営企画室および各事業戦略室(CS、GST、GWP国内・海外、Bサプ)から抽出された経営・事業課題(イシュー)に対し、各チームはプロトタイプの開発を行いました。
各チームの取り組みテーマ概要は、以下の通りです。
※テーマ名(課題抽出元の事業部)
A. 定型業務プロセスの自動化・高度化(CS・GWP国内)
経費精算や見積作成など定型業務の多くが手作業に依存し、非効率や精度のばらつきが発生している現状を、AIや自動化ツールで効率化。データ入力や資料作成をAIが代行することで、担当者は分析や戦略立案など創造的な業務に集中できる体制を目指す。
B. 購買実績分析AIプラットフォーム(Bサプ)
購買管理システム「べんりねっと」に蓄積された購買データが十分に活用できていない現状を、統合AIプラットフォームで変革。顧客向けには自動レポートと改善提案、営業向けには提案力強化機能、社内向けには戦略分析機能を提供し、購買データを中心とした新たな顧客価値創造エコシステムの確立を目指す。
C. 需要予測とサプライヤー連携を通じた、生産計画の最適化(GST)
経験則に依存した需要予測とサプライヤーとの連携不足により、欠品や過剰在庫が発生している現状を、AIで改善。自社とサプライヤーのデータを統合分析し、精度の高い需要予測と最適な生産計画を実現することで、サプライチェーン全体の効率最大化を目指す。
D. 文書作成・資料作成(GST・GWP国内)
提案書や報告書の作成が属人化し、過去のノウハウを活かしきれていない現状を、AIで変革。過去の優れた資料をAIに学習させ、案件に応じた最適な事例や構成を提示。誰でも迅速に質の高い「コクヨらしい」資料を作成できる状態を目指す。
E. スマートな営業提案先選定支援(Bサプ)
「べんりねっと」の新規営業において、SFAに蓄積された提案情報やMAのリード動向が十分に活用できていない現状を、AIで統合的に分析。過去の提案情報、顧客の行動データ、業界トレンドなどを組み合わせて最適な提案先を選定し、営業効率と成約率の向上を目指す。
役員審査と全社を巻き込んだハイブリッド開催
当日は会場での対面参加に加え、Zoomによるオンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式で行われ、多くの社員がその成果を見守りました。
イベントの締めくくりには、黒田社長をはじめとする役員陣による厳正な審査が実施されました。GenAI-Labからは、コクヨにとって最も価値がある取り組みとして「大賞」にCチーム、それに次ぐ「優秀賞」にEチームが選出されました。さらに、Zoom視聴者の投票による「オーディエンス賞」もEチームが受賞し、職位や場所を問わず学びを称え合うオープンな雰囲気に包まれました。(DD-Labは今回は審査の実施なし)
さらなる進化に向けた今後の展望
KDAは2027年末までに、各本部の30%がいずれかの基礎講座を修了している状態を目指しています。
今回の「KDA-Lab SUMMIT」で示された「実務課題を自分たちの手で解決する」というスキルの獲得は、コクヨのDXを加速させる大きな一歩となりました。今後もデジタルを武器に、新たな価値創造に挑戦し続けます。