N=1の声で
コクヨの未来をつくる お客様相談室

N=1の声でコクヨの未来をつくるお客様相談室

コクヨの挑戦「ヨコク」を描く社員たち。
今回は日々お寄せいただく声から新たな価値を生み出すお客様相談室のヨコク「N=1の奥にある、無数の共感をかたちにします!?」に込めた想いに迫ります。

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Profile

水山 ふくみ(みずやま・ふくみ)

水山 ふくみ(みずやま・ふくみ)

ヒューマン&カルチャー本部 コーポレートコミュニケーション室 カスタマーエンゲージメント推進ユニット

東郷 彩生(とうごう・あき)

東郷 彩生(とうごう・あき)

ヒューマン&カルチャー本部 コーポレートコミュニケーション室 カスタマーエンゲージメント推進ユニット

谷山 慶子(たにやま・けいこ)

谷山 慶子(たにやま・けいこ)

ヒューマン&カルチャー本部 コーポレートコミュニケーション室 カスタマーエンゲージメント推進ユニット

年間5万5,000件の声と向き合う現場

インタビューに答える水山

インタビューに答える水山

―まず、コクヨのお客様相談室には、年間どのくらいのお問い合わせが寄せられているのでしょうか?

水山:電話とお問い合わせフォームを合わせて、年間でだいたい5万5,000件ほどです。繁忙期には、1日あたり240件近くになる日もあります。新商品の発表やインパクトの大きいキャンペーンがあると、「どこで買えますか?」といったお問い合わせが一気に増えることも多いですね。

―そのなかで、コクヨのお客様相談室ならではの特徴はどこにあると思いますか?

水山:一言でいうと、「問い合わせに答えるだけでは終わらせない」ことです。以前までは、電話対応が追いつかないほど問い合わせが多く、「聞かれたことにとにかく答える」ことで精一杯だったと聞いています。

その後、私たちの部署では「お客様に寄り添う姿勢を、会社全体の力に変えていこう」という方針を打ち出しました。お客様相談室の強みを活かしながら、事業にお客様の声をフィードバックしていこうと舵を切ったんです。

もちろん、私たちの部署だけでできることは限りがありますが、「どうすればお客様の声を事業に還元できるか」を試行錯誤してきた結果、今では社内のコミュニケーションツールを使ってお客様の声を定期的に発信し、それが実際に商品改善につながった事例も出始めています。

【改善事例①】

【改善事例①】開封時に「どちらがキャップか分からない」「蓋の開け方が分からない」とのお声に対して、キャップの位置が一目で分かるようシールを貼付しました。また「商品説明欄の印字が読みづらい」とのお声に対して、印字を濃くすることで読みやすいよう改善しました

【改善事例②】

【改善事例②】「操作法を知らない人が無理に開けてしまいピンが折れてしまった(曲がってしまった)」「複数人で使用する場合、全員に注意事項や操作方法を説明することは難しい」とのお声に対して、使用方法がより分かりやすいようシール表記をリニューアルしました

―2025年7月に、お客様相談室は「カスタマーエンゲージメント推進ユニット」へと組織名が変わりました。このことも、その流れのひとつでしょうか?

水山:そうですね。私たちは「お客様からのお問合せに答える以上の価値​」をお客様にもコクヨにも​提供したいと考えてきました。単なる顧客対応窓口ではなく、お客様との接点で生まれた対話を深め、良好な関係を構築・強化するという「カスタマーエンゲージメント」を​体現していきたいという思いを、この組織名に込めています。なお、お客様の混乱を招かないよう、対外的には引き続き「お客様相談室」としてご案内しています。

N=1の声から、コクヨの当たり前を変えていく

―具体的には、どのように事業部と連携しながらお客様の声を届けているのでしょうか?

水山:まずは、問い合わせ数が多いステーショナリー領域から連携を進めています。主に品質保証部と定期的に情報交換を行い、パッケージ表記や製品仕様の改善に取り組んでいます。

―連携は最初からスムーズに進んだのでしょうか?難しさを感じた場面もありましたか?

インタビューに答える谷山

インタビューに答える谷山

谷山:最初のころは、どうしてもこちらから声を届ける一方通行になりがちでした。ですが、やり取りを重ねるなかで、お互いに情報を出し合える関係に少しずつ変わってきていると感じています。

具体的な連携の例でいうと、品質保証部のメンバーに商品の使い方をレクチャーしてもらう勉強会を開催しました。例えば、ハサミの切れ味ひとつ取っても構造が複雑で、電話だけでは説明しづらい場面も多いんです。実際に手に取って説明してもらうことで、「なるほど、だからこう切れるのか」と私たち自身も腹落ちしやすくなり、その理解があるからこそ、お客様にも分かりやすくお伝えできるようになっていると感じます。

水山:お客様の声を事業に届けて改善につながったときには、今度はこちらからお客様にお電話して、使い心地を改めて伺う「追跡ヒアリング」にも取り組んでいます。

件数としてはまだ多くありませんが、「自分の意見をここまで聞いてくれるんですね」と驚かれることも多く、写真付きのレポートを送ってくださるお客様もいらっしゃいます。メーカーがここまでやることに、他社の方から驚かれたこともありますね。

お客様レポート①

お客様から届いたレポートの一例。ハサミ〈サクサ〉を1カ月お試しいただき、良い点・気になった点・改善案をまとめてくださいました

お客様レポート③

〈サクサ〉のサイズ感や握りやすさを、写真付きで分かりやすくレポートしていただきました

お客様レポート④

お寄せいただいた貴重な声は開発メンバーと共有し、商品の改善に役立てています

インタビューに答える東郷

インタビューに答える東郷

―お客様の声を事業に還元するうえで、とくに大事にしていることは何でしょうか?

東郷:「N=1の声から未来のスタンダードが生まれる」というマインドを持つことです。開発や品質保証部のメンバーと連携して改善の提案をする際、どうしても「何人が同じことを言っているのか」と数が求められる場面も少なくありません。私たち自身も以前は、「やっぱり大多数の声じゃないと動きづらいよね」と思ってしまう部分がありました。

ですが、圧倒的顧客目線で考えるなら、1人の声も大切にしなければなりません。お客様相談室がその声を受け止め、「これはN=1の声だけれど、コクヨのスタンダードを変える可能性がある声なんです」と自信を持って伝える。その意識を、まずは自分たちが持つ必要があると気付きました。

1つの声の裏には、同じ悩みを抱えながらも声を上げていないお客様がたくさんいるはずです。その前提に立つことで、件数の大小だけでは測れない価値を届けていきたいと考えています。

知識を深め、伝える力を磨き続ける

―お客様の声を事業に届けるために、皆さん自身もスキルアップに取り組んでいると聞きました。どのようなことをされているのでしょうか?

谷山:私たち自身が商品知識を深めることで、お客様の解決までの時間を短くできますし、品質保証部や開発メンバーの負荷も減らせると考えています。なので、例えば商品の使い方を誤解されているお客様には、使い方を分かりやすくまとめたカードを作成し、お客様への返信に添付したりしています。

快適カード

お客様にも商品理解を深めていただけるよう、使い方の注意事項をまとめたカードを作成し、交換品を送る際には同封する取り組みも

水山:もちろん、「何を伝えるか」と同じくらい「どう伝えるか」も大事です。そこで集合研修のような形で、「伝え方」や「共感の示し方」といったコミュニケーションスキルも磨いています。対応事例を持ち寄ってディスカッションしたりしながら、チーム全体で対応力を底上げしていけるように取り組んでいるところです。

東郷さん

お客様一人ひとりの困りごとに向き合えるよう、「伝え方」や「共感力」などのコミュニケーションスキルを磨く

行動規範

スキルアップにとどまらず、ユニット独自の行動規範を策定することで、メンバー同士が意見を言いやすい環境づくりも進めています

「まずはコクヨに言ってみよう」と思われる存在へ

―こうした取り組みを続けるなかで、事業やブランドの成長に貢献できていると感じる場面はありますか?

水山:お客様満足度アンケートで、「コクヨのお客様相談室は、コクヨのブランド価値を上げていると思います」と書いてくださったお客様がいて、本当に感動しました。私たちが自分たちで言っても説得力はありませんが、お客様が言葉にしてくださったことで、「この活動はブランドづくりにもつながっているんだ」と実感できました。

また、コクヨの公式ホームページ内にある「お客様の声をカタチにしました」のサイトを見て、「意見を言ったら反映されるかもしれない」と期待を持って問い合わせてくださるケースも徐々に出てきています。私たちの活動は派手ではなく、どちらかというと地道な活動の積み重ねですが、年間5万5,000人のお客様の声と向き合うことで、ブランドづくりに貢献できているのではないかと感じています。

―皆さんのヨコク「N=1の奥にある、無数の共感をかたちにします!?」には、どのような思いを込めていますか?

東郷:2025年にコクヨは120周年を迎え、社会における役割を再定義しようとリブランディングに取り組んでいます。その流れの中で、「コクヨとして社会にどう役立っていくか」という視点を、お客様相談室としてもより強く持ちたいと考えています。お客様の声を会社の中に届け、その声が実際の商品の改良や新しいサービスにつながっていく――その“入口”となる存在でありたいです。

―最後に、コーポレートメッセージ「好奇心を人生に」にちなみ、世の中にどんな好奇心をもたらしたいですか?

谷山:一番減らしていきたいのは、「どうせ言っても変わらない」という気持ちです。そうではなく、「コクヨに言ったら何か変わるかもしれない」「とりあえず伝えてみようかな」と、一歩踏み出したくなるような好奇心を持ってもらえたら嬉しいですね。

そして実際に踏み出した結果、「言ってみてよかった!」「ちょっと前向きになれた!」と感じていただけたなら、そのポジティブな気持ちが次の行動や新しいチャレンジにつながっていくといいなと思っています。

水山:うれしい声も、時には厳しい声も、「コクヨだから言ってみよう」と期待して声を寄せてくださっていると日々感じています。その期待に応えられる会社でありたいと思いますが、それはお客様相談室だけでは実現できません。開発、営業、品質保証、管理部門など、社内のさまざまなメンバーが、それぞれの立場でお客様の声に答えていくことで、最終的には商品やサービスを通じてお客様の人生を豊かにできるはずだと信じています。

だからこそ、私たちはその声をきちんと受け止め、社内へと届ける存在であり続けたいです。お客様の声が社内をめぐって形になり、「だからコクヨを選びたい」と思っていただけたなら、これ以上嬉しいことはありません。

インタビューカット