ワーカーの体験価値を創るオフィスを
インドから世界に

ワーカーの体験価値を創るオフィスをインドから世界に

コクヨの挑戦「ヨコク」を描く社員たち。
今回は2025年にコクヨグループに仲間入りしたインドのオフィス家具メーカーとの共創に挑むメンバーのヨコクに迫ります。

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Profile

東口 広治

東口 広治(ひがしぐち・こうじ)

グローバルワークプレイス事業本部 インド・パシフィック本部 インド市場開発部

上野 啓太

上野 啓太(うえの・けいた)

グローバルワークプレイス事業本部 インド・パシフィック本部 インド市場開発部

急成長するインドのオフィス環境

東口さん

―まず、インドのオフィス環境やビジネス状況について教えてください。

東口:インドには主要な大都市が8つあり、それぞれが巨大な経済圏として急成長しています。そこでは単に家具を販売するだけでなく、働き方そのものを提案する企業も増えてきており、コクヨと同じように「どうすれば一人ひとりが働きやすいオフィス環境になるか」を考える企業が続々と登場し始めています。

上野さん

上野:オフィス環境も大きく進化しています。インドではいわゆる「Aグレードオフィス」と呼ばれる、東京でいう丸ビルのようなオフィスビルが次々と建設されています。こうした動きが活発化する中、コクヨもこの勢いのある市場に参入していきたいと考えています。

「Aグレードオフィス」と呼ばれるインドの先進的なオフィス

  • Aグレードオフィス_1

  • Aグレードオフィス_2

  • Aグレードオフィス_3

  • Aグレードオフィス_4

「Aグレードオフィス」のすぐ隣には路面店が並ぶ

路面店_1

路面店_2

「KWI」の出発点を紐解く

―2025年にコクヨグループに加わった「Kokuyo Workplace India」の前身にあたる「HNI India」とはどのような会社なのでしょうか?

東口:「HNI corporation」といえば、世界的に有名なオフィス家具メーカーの一つです。同社が2012年に「BP Ergo社」という会社をM&Aして生まれたのが、「HNI India」となります。インド国内に5つのショールームを展開し、事業拡大を続けています。2025年にコクヨグループに加入後、社名が「Kokuyo Workplace India(以下、KWI)」へ変更となりました。

インドの都市デリー、ムンバイ、ハイデラバードにあるショールーム

―KWIがもつ強みを教えてください。

上野:インドには多くのオフィス家具メーカーがありますが、大きなシェアを持つ企業が不在の乱立市場なんです。そんな中、KWIは単なるオフィス家具メーカーではなく、早い段階で「モノ売り」から「コト売り」へシフトしています。顧客のオフィス環境における“体験”を提供する会社を目指しており、乱立状態の市場をリードしていける兆しだと考えています。

提案の際も、彼らは「ワーカーが快適に働ける環境とは何か」「ワーカー同士のコラボレーションを促進するオフィスとはどんなものか」などを常に念頭に置いているんです。これは、コクヨのTHE CAMPUSの考え方や「be Unique.」の企業理念とも共鳴する部分があると感じています。

また、ショールームも他社とは一線を画しており、単に製品を展示するたけでなく空間設計を重視し、「この家具を使うことによってワーカーにどのような体験が生まれるか」を表現した展示を行っています。

さらに、KWIは完全にインド人スタッフで構成されていながら、アメリカの「HNI Corporation」の一員として培ったグローバルな視点も併せ持っているのも大きな強みです。顧客のニーズに応じて、ローカル/グローバルの側面を上手に使い分けて営業活動をしています。安価な製品を大量供給するわけでもなく、かといってハイエンド市場にも特化しすぎない、中間的なポジションで戦う戦略もコクヨと親和性が高いと感じました。

コクヨと共鳴する強みとは?

―インドの数あるオフィス家具メーカーの中から、なぜKWIと手を組むことになったのでしょうか?

東口:以前からコクヨは、インドのオフィス市場への参入を検討していました。複数の現地メーカーを調査・比較する中で、KWIの品質の高い製品ラインナップ、インド全土に広がる販売網、そして先ほどの話にもあったように、コクヨの企業理念や経営方針と共鳴する部分が多かったことが、KWIをパートナーに選んだ理由です。さらに、中国・香港で「Lamex(※)」ブランドのM&Aを通じてHNIグループとの協業実績があり、信頼関係がすでに構築されていたことも背景にあります。

実際に工場を見学すると、日本の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の考え方が根付いており、生産管理体制も整備されていました。日本と遜色ない環境が整えられていたことも、「良いパートナーになれる」と判断したポイントの一つです。

※1977年に設立された香港発のオフィス家具ブランド。優れた品質と信頼性のある香港ブランドとして、中国のすべての主要都市や東南アジア、中東、アフリカなど20カ国に展開しており、2022年にコクヨグループにジョインしました。

―KWIのグループ加入を踏まえ、今後のグローバル戦略をどのように描いていますか?

上野:コクヨは現在、グローバル市場において顧客の攻略方法を変えようとしています。日本ではプロジェクトの上流から関与することが多い一方で、海外ではまだ川下の部分しか手掛けられていないケースがほとんどです。インドでも同じように良いポジショニングを狙っていけるよう、KWIの皆さんと協力しながら、インド市場での成長を目指していきたいです。

KWIチームと共創

KWIチームと共創し、世界三大オフィス家具展示会の一つ「ORGATEC INDIA」に出展

出展したブースが「洗練された日本のミニマリズムとクオリティを表現している」と高く評価され、ベストブースデザイン賞を受賞!

ブースの様子_1

ブースの様子_2

チームMTGの様子

―皆さんのヨコク「世界中の人たちと一緒にユニークネスとクリエイティブの爆発を起こします!?」には、どんな想いを込めているのでしょうか?

上野:私は「グローバルに展開していく会社で働きたい」と思ってコクヨに入社しました。国や地域を広げていくプロセスがおもしろいと感じたからです。ただ、「売上が大きい」「海外拠点が多い」ことと、「グローバルに通用する会社」であることは一致しない――中に入ってそう実感しました。

だからこそ大切にしているのが「カルチャー」です。国や言葉が違っても、コクヨらしさをどう体現できるか。そこに真のグローバル化の鍵があると考えています。急成長を遂げるインド市場で私たちは、家具だけでなく心地よい“体験”まで含めたオフィス環境を提案していく。その積み重ねが、コクヨのユニークでクリエイティブな文化を世界へ届ける力になると信じています。

―コーポレートメッセージ「好奇心を人生に」にちなみ、この取り組みを通じて世の中にどんな好奇心をもたらしたいですか?

上野:「日本の会社が本気でグローバルに挑戦している」という姿そのものに、ワクワクしてほしいですね。コクヨがグローバルに挑む姿を見せることで、「日本以外にも可能性があるんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。

東口:インドの皆さんに対しては、まず「働く場所」をもっと楽しいものにしたいですね。インドのソーシャルコミュニケーションが活発な文化を活かしながら、集中して働けるエリアも備えた、多様な機能を持つオフィスを提案していきたいと思います。その結果、働く人たちのモチベーションやエンゲージメントが高まり、「この会社で働きたい」と思える人が増えていく。そんな状態を目指しています。

各国の“らしさ”を尊重し、「働く・暮らす」を豊かに

上野さんと東口さんのインタビューの様子

―最後に、今後の展望を聞かせてください。

上野:私たちの商材は「ワークスペース」「ワークスタイル」に関わるものですが、本質は「一人ひとりの可能性を最大化し、ハッピーな状態をつくること」だと思っています。日本人は真面目でよく働く一方で、ウェルビーイングからは遠い働き方をしている面もあると思います。ただ、その中で培われてきた美意識のようなものも確かにあります。

一方で、インドのウェルビーイングは日本とはかなり違います。物質的な豊かさとは別の軸で幸せを感じていて、「家族がいるだけで明日も頑張れる」といった感覚を持つ人も多いように感じます。このような各国の「良さ」を交換しながら、働く場や暮らす場に落とし込んでいく。その“カルチャーのエクスチェンジ”を、コクヨグループとして実現していきたいと考えています。

東口:日本には日本の文化の良さ、海外には海外ならではのダイナミズムや多様性があります。日本だけが一方的に「持ち込む」のではなく、お互いの良さを尊重しながら、新しい働き方や暮らし方をつくっていけるような世界を、コクヨがつくっていけたらいいですね。