働く場所から
街を変える
ビルリノベへの挑戦
コクヨの挑戦「ヨコク」を描く社員たち。
今回は「ビル一棟まるごとリノベーション」
サービス担当者のヨコク
「世界中のオフィス街を豊かにします!?」
に込めた想いに迫ります。
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INDEX
Profile
髙橋 絵里(たかはし・えり)
グローバルワークプレイス事業本部
ビル・エリアリノベーション室
ビル一棟から始まる街づくりとは?
―まず、ビルリノベーションサービスを立ち上げた背景を教えてください。
髙橋:これまでコクヨは、オフィスの家具やインテリアの設計・施工を中心に空間事業を展開してきました。ですが近年は、企業が抱える課題や社会の状況がより複雑化し、従来の方法だけでは解決できない事も増えてきています。そこで「働く環境」を空間の中だけではなく、ビル全体や周辺の街との関係性まで広げて見直そうという考えから、このビルリノベーションサービスを立ち上げました。一般的にリノベーションというとビル外観や内装・設備の「設え」を新しくするイメージが強いかもしれませんが、私たちはそこだけにとどまらず、「働き方を変えるためにリノベーションをする」という視点で、建築や街にソフトを含めてアプローチするプロジェクトを進めています。
「ビル一棟まるごとリノベーションサービス」のイメージ
―この新たなサービスを通じて、どのような世の中を実現したいですか?
髙橋:日本のオフィス街を、経済的な豊かさとは別の「人間的な豊かさ」が感じられる場所にしていきたいと思っています。例えば、品川駅の通勤風景は「ゾンビロード」と揶揄されがちですが、その印象を変えていければいいなと。出勤がネガティブな義務感ではなく、ちょっと楽しい予定に変わる。そんな「行きたくなるオフィス街」を私たちがリノベーションしていけたらと思っています。
―では髙橋さんにとって、“豊かな街”とは?
髙橋:人によって魅力的な場所の感じ方は違うと思いますが、大切なのは「来たくなる気持ちが湧くかどうか」だと思っています。例えばオフィスなら、仕事だけではなく、気分の上がるカフェがある、面白そうなイベントがある、など、ちょっとした楽しみがあると日々の働くモチベーションが上がりますよね。オフィス単体で完結するのではなく、周囲の環境も含めて、街全体としての魅力をつくっていくことが重要だと考えています。
―コクヨ以外にもビルのリノベーションを手がけている企業は多いと思いますが、その中でもコクヨだからこそできる強みは何ですか?
髙橋:リノベーション自体はデベロッパーやゼネコン、設計事務所など多くの企業が参入していますが、一番の違いは「働き方から考える」という起点だと考えています。単に古いビルをリニューアルするのではなく、私たちは「この会社にとって理想的な働き方とは?」「社員がもっと生き生きと働ける環境とは?」という視点から出発できればと思っています。
そしてもう一つが、企画から家具、設計、施工、施設の運営支援までをワンストップで提供できる体制が整っていることです。最初から最後までクライアントと伴走できるのが大きな強みだと考えています。
活用できていない屋上を緑化テラスへ変え、つながりや交流を生む場へ
社内外の交流を活性化するオープンイノベーション拠点へ
困難を乗り越えてこそ強くなるサービス
チームメンバーと打合せをする高橋。それぞれが得意分野を活かしながらプロジェクトを進める
―新しいサービスを立ち上げるとなると、課題や大変なことも多いのでは?
髙橋:やはり様々な部門との連携が大変です。ワンストップでやると決めた分、関係者も非常に多くなります。例えば不動産企画、建築工事部門、調達、運営支援……すべてのフェーズであらゆる部門との連携が必要です。また、設計施工においてはこれまでの内装指針にとどまらず、建築指針をどう設計していくかという新しい課題もあります。さらに、運営段階では「これまでとは違うサービスを加えたい」という思いから、パブリックイベント(CULTURE
SNACK*)を企画したり、コクヨアンドパートナーズと協働したりもしています。
試行錯誤の連続で何度も課題に直面してきましたが、課題を解決するときこそ、このサービスの価値と質が高まっているのを感じます。一人ではできない大きな課題をみんなで超えていくそのプロセスこそ、このサービスをもっと面白く、世の中に価値のあるものに仕立てていくには重要なことだと思っています。
―営業活動もすでに始まっていると伺いました。実際にお客様からはどんな反応が得られていますか?
髙橋:「働き方から考えるリノベーション」というコンセプトに対しては非常にポジティブな反応をいただいています。コクヨのこれまでのオフィス構築の実績や知見を信頼してくださっているのを感じますね。
また、建築費の高騰により、建替えではなくリノベーションを選ぶ企業が増えてきているという市場の変化も感じています。タイミングとしてもこのサービスには大きなチャンスがあると実感しています。
*コクヨが品川オフィス「THE
CAMPUS」を拠点に、地域の企業や住民と共創して開催。「働く・暮らす街」の日常に隠れた新しい魅力(=B面)を、みんなで楽しみ再発見する“まちの大文化祭”。
「好き!」や好奇心が仕事の原点
―そもそも、設計の仕事に興味をもった原点は何でしょうか?
髙橋:振り返ると、子どもの頃から空間で自分の機嫌をとっていたなと思うんです。模様替えすると気分が変わったり、光の入り方で前向きになれたり元気になったり。自分なりに「ここにこういうものがあったらいいな」と工夫しながら部屋を飾っていたのが、今の仕事の原点かもしれません。
―髙橋さんにとって、業務の中でワクワクする瞬間や好奇心が掻き立てられるのはどのようなときでしょうか?
髙橋:お客様とやり取りしながら、一緒にアイデアを形にしていくときです。最初はどうしてもこちらからの提案が中心になりますが、やり取りを重ねるうちに、お客様からもアイデアを出していただけるようになり、それに応えてさらに具体的な形にしていく―――。そんなふうに、対話を通じて一緒に空間をつくり上げていくプロセスにワクワクします。
―最後に、ビルリノベーションサービスの今後の展望を教えてください!
髙橋:個人的には「働く」を軸にしつつも、「暮らす」「学ぶ」に関係する施設への展開にもチャレンジしたいです。働く場所の多様化も進んでいますので、多角的なサービスを通じて新しいワークプレイスの在り方を探っていきたいですね。
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