偏差値35から東大合格 西岡壱誠さんに学ぶノート活用術
自分に合った勉強法をどう探すか。
偏差値35から東大合格を果たし、人気ドラマ『ドラゴン桜』の監修も務めた西岡壱誠さんに、ノートの取り方、文具の選び方を学びます。
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Profile
西岡壱誠さん
株式会社カルぺ・ディエム代表。一般財団法人 ドラゴン桜財団 代表理事
偏差値35の学年ビリから東大を目指すも、現役・1浪と2年連続不合格。あきらめたくない想いと東大の大きな壁に挫折と自己嫌悪を味わった。不合格の通知に自信を失い、塞ぎ込んでいるときに、母親が「ピザパーティーしようか」と声をかける。合否を問いただされることもなく、ピザが並べられる食卓といつも通りの母親。失敗を咎められない環境とどんなことがあっても自分には戻る場所があるという安心感で三度目の東大に挑む活力が湧く。今までの自分の勉強法を見直すことから始め、周りの勉強ができる人を分析し、自分なりの「思考法」「暗記法」「読書術」「作文術」などを開発していく。どうすれば成績が上がるのかを徹底的に考え抜いた結果、偏差値が70に上がり東大模試で全国4位になる。そして三度目の挑戦で東大に合格。深く考える勉強法を全国の高校生や教師に伝える活動を行い、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社/コルク)の編集やドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』『御上先生』の脚本監修を担当。著書『東大読書』シリーズ(東洋経済新報社)は累計40万部のベストセラーになった。
「ノートの取り方」は、勉強に対する姿勢そのもの
西岡さんが勉強法に目を向けるようになったのは、東大受験に二度落ちた後のことだったといいます。
「がむしゃらに勉強しただけでは、全然成績が上がらない。ここで初めて『今のやり方ではダメなんだ』と思いました。
だから、東大に受かった人に、どうやって勉強していたのかを聞いてみたんです。
結果として、勉強法のバリエーションを知ることができましたし、『勉強法を工夫しなけりゃ成績は上がらない』ということにも気づけました」
二浪を経て臨んだ三度目の受験で、西岡さんが最も意識した「工夫」。それが「ノートの取り方」でした。
「例えば、自分で考えてノートを取ることと、板書の内容を書き写すことは全然違うと気づいて。
先生が書いたこと、言ったことをそのままノートに取るわけではないんですよ。それを自分なりに解釈して、言い換えてノートを取るようにする。インプットしたことを素早くアウトプットする感覚ですね。
すると、理解の深さ、勉強の質が大きく変わりました。今考えると、当たり前のことなのですが(笑)。
あとは、ノートのスペースを縦二つに分割して、左に質問、右にそれに対する答えという形で、覚えたいことを整理していく方法もよく実践していましたね」
ノートを取る目的は板書の内容を書き写すことではなく、理解すること。だからこそ、自分の頭を通して言葉を変換し、整理するというワンクッションが、ノートを「ただの記録道具」から「思考の道具」へと変えていきます。
「日々さまざまな受験生と接していますが、成績の伸びる子に共通しているのは、やはり『ノートの取り方を工夫していること』です。
ノートの取り方とは、本質的に『授業の受け方』。
ノートに何をどう書くかは、授業中に自分が何をどう考えているかの裏返しです。だから、ノートの取り方を意識することは、勉強への姿勢を変えることにつながるのだと思います」
東大合格者が実践する「ノートの取り方」
「勉強への姿勢」を語る中で、西岡さんが印象的な一言を口にしました。
「結局、勉強法ってテクニックじゃないと思うんです。『自分の頭で考える、工夫する』という勉強に対する自発性・積極性の問題です。
その工夫には、自分に合った勉強法を探すというアクションも含まれます。
自分も受験生から『どの勉強法が一番効率いいですか?』と聞かれるのですが、やっぱり『なんでもいいからまずは気軽に一回試してみよう』と伝えていて。
とりあえず3か月くらい同じやり方を続けてみて、成績が上がらなければ変えていいと。
自分にどの勉強法が合うかは、頭で考えても分かりません。試して、振り返って、調整する。そのサイクルを繰り返していくしかないわけです。
だからこそ、一発で正解を引き当てたり、一つのやり方に固執したりする必要もありません。
それに、1から自分で考えなくても構いません。先ほども少しお話ししましたが、僕自身、受験生の頃は東大合格者の勉強法を聞いて、マネしての連続でした。その繰り返しの中で、徐々に自分に合った方法が分かってきました。
それに、1から自分で考えなくても構いません。先ほども少しお話ししましたが、僕自身、受験生の頃は東大合格者の勉強法を聞いて、マネしての連続でした。その繰り返しの中で、徐々に自分に合った方法が分かってきました。
少し毛色の違う話かもしれませんが、最近の参考書は分かりやすすぎて、工夫の余地のないものも多いですよね。『こうやればいい』『こういう関連情報がある』と懇切丁寧に書いてある。これは親切なように見えて、自分の頭で考える機会を子どもから奪っているとも言えるのではないでしょうか。
その点、ノートは真っ白な状態から書き始められるから、工夫のしがいもあるでしょう。ノートの取り方を工夫すると成績は上がるんだということを、皆さんにも知ってもらいたいですね」
ちなみに、東大生の中には、過去問を貼ってそこに自分なりの解説を書き込んだ「過去問ノート」をつくる人も多いのだとか。
「解いているときに、自分がどう思ったのかもメモしているんですよ。『ここに引っかかった。自分はここに引っかかりやすい』みたいなことが書いてあったりして。そこまでやるんだ、と思いました。
自分の思考のクセまで言語化するのは、成績の伸びる子に共通する習慣かもしれません」
文具との付き合い方に見る、東大生の思考法
ルーズリーフは「復習」に便利
ノート以外で、東大生はどのように文具と付き合っているのでしょうか。西岡さんの受験時代の相棒は「ルーズリーフ」だったといいます。
「ルーズリーフで勉強することが多かったです。罫線はB罫(6mm)でした。いろんなものをいっぱい書かなきゃならないから、罫線と罫線の間が細めのB罫が一番合っていたんでしょうね。
普通のノートではなく、ルーズリーフにした理由は明快です。
「ページの順番を変えられるからです。復習するときに、分からなかった問題、重点的に復習したい問題を前に持ってこれますし、別のファイルにまとめ直したりできますよね。
バラバラにできるからこそ、自分の弱点を集めた『自分だけの一冊』もつくれます」
勝負ペン・ラストノートと“常在戦場”のマインド
西岡さんが受験生に勧めるのが、当日の試験で使う「勝負ペン」を決めることだといいます。
「またマインドの話につなげますが、これは『常在戦場』の意識なんですよ。
共通テスト1か月前に『当日どの服を着て、どのペンで書くか決めた?』って聞くと、『制服か私服かまだ決めてない』と言う子も多いのですが、『共通テストを受けるのと同じ環境で勉強しておいたほうがいいよ』とアドバイスします。
本番と同じ道具を使って勉強することで意識が試験に向きますし、何より机に向かう時間そのものが本番のシミュレーションになります」
そしてもう一つ、西岡さんが教えてくれたのが「ラストノート」をつくって試験当日に持参するというアイデア。
「要は試験の直前に見るための一冊です。
直前に見ると決まっていれば、おのずと「何をどう書き、どう整理するか」も変わってきます。
そのラストノートづくりに、コクヨのコンパクトなバインダーとロールふせんが活用できそうですね。
この小さなバインダーは試験会場にも持っていきやすいサイズですし、書くスペースが足りなくなっても、ふせんで『類義語にこんなのもあった』といった追加情報を書き足せます。
こうして試験直前に見たい情報を整理して、お守りのようにカバンに入れておくといいですよ」
勉強法と文具は「車の両輪」
受験生かどうかを問わず、お子さんの勉強で悩む親御さんに向けて、何かアドバイスはあるでしょうか──。そう尋ねると、西岡さんは少しだけ間を置いて、率直に語ってくれました。
「厳しいことを言うようですが、結局、本人が『自分で』工夫しないとダメなんですよ。親がお膳立てしても、成績は上がっていきません。
これは補助輪をつけただけでは、自転車に乗れるようにならないのと同じです。
ただし、どこかのタイミングで、子どものテンションが上がるような文房具を買ってあげるのはいいことかもしれませんね。自ら『勉強に取り組もう』と思える環境を整えてあげるわけです。
特に中学生くらいのお子さんを持つ親御さんには、『勉強しなさい』と言うより良い文房具を買ってみてください、とお伝えしています。
お気に入りのペンやノートを手にすると、机に向かう気持ちが自然と動き出します。
勉強法を『勉強に対する自分なりの創意工夫』と捉えるなら、それと文房具は、車の両輪みたいな関係性なのかもしれませんね」