コクヨ×アクタスが
暮らしをデザイン!
シドニー発の挑戦
コクヨの挑戦「ヨコク」を描く社員たち。
今回は、オーストラリアでコクヨ初のライフスタイルショップを立ち上げたメンバーのヨコク「シドニーから世界へ、『ワーク』と『ライフ』の新しい出会いをひらきます!?」に込めた想いに迫ります。
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INDEX
Profile
中村 望(なかむら・のぞむ)
グローバルワークプレイス事業本部 インド・パシフィック本部 オーストラリア支店長
城西 幸延(しろにし・ゆきのぶ)
グローバルワークプレイス事業本部 インド・パシフィック本部 市場開発部
清水 咲葉(しみず・さきは)
グローバルワークプレイス事業本部 インド・パシフィック本部 市場開発部
Triny
オーストラリアにおいてインテリアのBtoB営業を担当
Albert
シドニーにオープンする「HOW WE LIVE(ハウ ウィ リブ)」店舗において店長として就任予定
“暮らし”から始める。「HOW WE LIVE」という新しい入口
中国・インド・オーストラリア市場を担当。オーストラリアでは事業立ち上げを推進する中村 望
―コクヨ初のライフスタイルショップ「HOW WE LIVE」とはどのようなブランドなのでしょうか?
中村:2024年10月、コクヨとアクタスがプロデュースし発足したライフスタイルブランドです。家具、文具、ホームウェア、アートなどのカテゴリを横断しながら、オフィスにもプライベート空間にも通じる、自分らしい生き方や暮らし方の多様な選択肢を提案します。
(株)アクタスより出向し、「HOW WE LIVE」店舗オープンに向けてプロジェクトを推進する城西 幸延
城西:アクタスの家具をコクヨの法人事業部で展開するなど、コクヨ×アクタスの協業は以前からありますが、今回はtoC向けのリテールショップの立ち上げを海外で行うという点で画期的なプロジェクトといえます。
―なぜtoC向けのブランドを作ったのでしょうか?
中村:将来のtoB展開を視野に入れたtoC戦略です。これまでもファニチャー単体で海外展開をしてきましたが、ターゲットユーザーに対してブランドを認知していただくまでに時間がかかっていました。そこで、輸入家具のtoC事業に強みを持つアクタスと協業し、まずtoCで接点を増やし、アクタスとコクヨの認知度を高める。その先でtoB事業にもつなげていきたいという狙いがあります。
2024年11月から12月にかけて、ブランド初のPOP UP SHOPをオーストラリア・シドニーのサリーヒルズに出店したのも、個人クリエイターだけでなく設計事務所なども多いエリアで、toB・toCどちらのターゲット層もいることが決め手の一つでした。
2024年11月~12月に開催したPOP UP SHOP。「HOW WE LIVE」の世界観を体現
―オーストラリアで始める背景は?
中村:オーストラリアは経済が安定している国です。加えて、多文化で柔軟性が高く、ライフスタイルを大切にしながらワークスタイルをどう日常に混ぜるかが自然に話題になる。私たちが考える「ワークとライフを同時に考える」ソリューションに適した土壌だと感じています。
城西:市場の観点でも、働き方とワークプレイス、家具までつなげて提案できるプレイヤーはまだ少なく、事業展開のチャンスが見込めると思いました。また、すでにモノが充足している国だからこそ、本当に良いモノ、使いたいと思うモノでないと手に取ってもらえない。一方で最低賃金が高く、自国生産にこだわらずとも、良いものがあれば多少高価でも選ばれるので、コクヨの高品質なモノづくりは、オーストラリアでも十分通用すると考えています。
POP UP SHOPで展開した商品の一例
POP UP SHOP限定で販売した、ACTUSオリジナルブランド「good eighty%(グッドエイティパーセント)」のスツールの限定色
シドニーに新しくオープンする「HOW WE LIVE」店舗の店長に就任予定のAlbert
―初のPOP UP SHOPを行った際の現地の皆さんからの反応はいかがですか?
Albert:とても良いリアクションを得られています。建築家、インテリアデザイナー、グラフィックデザイナーなど多様なデザイン関係者が来店し、うまくメッセージを発せられたと思っています。とはいえ認知にはまだ時間はかかりますし、ブランドとしては初期のステージ。これからじっくりと伝え方を整えていきます。
コクヨ×アクタスで広がる、ワークとライフの新しい接点
―コクヨ×アクタスが協業することにおけるシナジーとは?
中村:新市場参入ではオフィス家具だけだと差別化が難しく、価格競争に陥る場面もあります。だからこそ、コロナ禍以降注目された“ライフスタイル”の視点を取り組むこと自体が、他社にはあまり例のない挑戦になる。このシナジーを活かしたいですね。
城西:リテール(BtoC)で来店いただいたお客様がBtoBの家具にふと興味をもつ。そんな導線もつくれると思います。ABW(*)先進国のオーストラリアは、家とオフィスの境目が薄いので、リテールでBtoBを見せることは効果的だと考えています。
*Activity Based Workingの略。業務内容に応じて働く場所や時間を自由に選択できる働き方。
(株)アクタスより出向し、城西とともに事業推進に携わる清水 咲葉。シドニーにオープン予定の「HOW WE LIVE」店舗でスタッフとして勤務予定
清水:私はこれまでアクタス店舗で、BtoC向けの接客に携わってきました。今後、アクタスのインテリア性の高い家具に惹かれたお客様が、コクヨの機能性の高い家具にも興味を持ってくださったり、その逆もあったり、両社が交わることで生まれる反応を今から期待しています。
―商品のキュレーションの観点と難しさを教えてください。
中村:提案型ライフスタイルショップの開設は、コクヨとしても初の試みでした。だからこそ「現場での実践的な学び」に時間をかけています。何度もアクタスの既存店舗に足を運び、ライフスタイルに関わる要素や顧客体験を深く学ぶ。さらに、これまでコクヨのワークスタイル事業で関わったオーストラリアの設計事務所の方を東京に招き、商品やコンセプトのアイデアをヒアリングしました。
そのうえで直面しているのが、オフィス家具とライフスタイル製品を同じ空間でどう融合させるかということ。お客様にとって理解しやすく、かつ魅力的な店舗を作り上げることができるかが大きな課題です。
城西:ワークスタイルとライフスタイルの融合は、絶妙なバランスで成り立っています。だからこそキュレーションは難しいですね。それに、今はメイドインジャパンを並べれば特徴になる時代でもありません。工芸や作家の“深み”により踏み込んでいく必要があります。例えば、長野県の松本にある工房や飛騨高山のイス作家のもとへ実際に訪ねるなどして商品を選定しました。同時に、デンマークの『アイラ―セン』のようなハイブランドも扱います。日本の視点でどう編集するか、そしてブランドに見合う雑貨やスタイルをどう伴走させるか。そこは常に気を配っています。
“豊かさ”の輪郭と、ブランドが灯す好奇心とは?
オーストラリアにおいてインテリアのBtoB営業を担当しているTriny
―皆さんが考える“豊かな暮らし”とは?
Triny:“人とのつながり”が豊かさにもつながっていると思います。だからこそ、日々の暮らしの中でさまざまなコネクションを育んでいくことが大事にしたいです。
城西:私は、愛着のあるものに囲まれ、時間の使い方を選び取れることだと思います。
中村:価値観の違う人たちと出会い、文化も含めて考えを共有する時間が、自分にとっては幸せです。お互いに学び合える場をいかにつくるかに関心があります。
清水:私によって豊かな暮らしとは、“好き”に囲まれて暮らすことです。自分が本当に良いと思えるものと長く付き合う日々が豊かさにつながると思います。店頭では、その良さを“言葉”で伝えていきたいですね。
―コーポレートメッセージ「好奇心を人生に」にちなみ、この事業を通して世の中にどのような好奇心をもたらしたいですか?
城西:「あの店に行けば、新しい体験に出会える」―――そんな好奇心を掻き立てる店舗づくりをしていきたいです。おもしろい例だと、2025年6月に開催したブランド初のトークイベントでは、参加者に日本の焼き鳥を振る舞いました。商品も、質の高いものを提供するのはもちろん、まだ世界に紹介されていないものを掘り起こし、世の中に好奇心を広げていきたいと考えています。
清水:これまで私は、アクタス店舗での接客を通して、“言葉”でものの魅力や背景を伝えることに取り組んできました。今後「HOW WE LIVE」の店舗に立たせていただくにあたり、接客を通してお客様に“ワクワク”を感じてもらえたら嬉しいです。
2025年6月にブランド初のトークイベント「HOW WE DESIGN」をシドニーで開催
ライフの視点をワークへ。シドニーから描く次の景色
―ライフスタイル事業から得た学びを、ワークプレイス事業にどう活かしていきますか?
中村:今、世界中でオフィスの在り方が変化しています。オーストラリアのオフィスにはホームの要素が入り込み、雰囲気も変わってきました。ライフスタイルショップで得た知見はワークプレイスの設計にも活き、案件参画の可能性も十分にあり得ると感じています。
―今後のビジョンを教えてください。
Albert:2026年4月には、ブランド初の常設店舗の開業が決まりました。今は立ち上げの真っ最中です。ドアを開けた瞬間の驚きやワクワクを表現できるよう、丁寧に店舗づくりを進めていきます。
ブランド初の常設店舗を開業予定のオーストラリア・シドニーのテイラースクエア外観
常設店舗内のイメージ
清水:まずは、シドニーの皆さんにとって居心地の良い場所をつくっていきたいですね。そうすればきっと、ブランドの未来は広がっていくと思います。店舗での接客を通して、一つずつ実現させていきたいです。
Triny:「HOW WE LIVE」は世界で通用するブランドだと思っています。ただ「ここでうまくいったから他も同じ」と決めつけず、アジャイルに調整し続け、地域ごとに最適化していくことが大切だと考えています。
城西:Trinyが話したとおり、将来ほかの地域に展開するのなら、その出し方や店の形態は変えてもいいと思っています。貫くのはコンセプト。いつか、日本に逆輸入ができたらおもしろいですね。
中村:「HOW WE LIVE」は私たちだけで作り上げていくものではなく、現地の皆さんと一緒に“自分たちの場”として育てていく。それがこのブランドの本質だと考えています。地域ごとの答えを、現地の皆さんと一緒に見つけていけたらいいですね。
初の常設店舗開業に向けて2025年11月~12月にPOP UP SHOPを開催!