HOWS DESIGN

Vol.45 CASE

ぴったり狙えてキレイにひと消し。理想のノートメイキングを叶える新機能「めじるしライン」が付いた修正テープ

掲載日 2026.11.04

ALTはじまり。白いカーテンが背景にある会議室。ブラウン色の机の前に座り、インタビュイーの男女二人がカメラ目線で笑っている。左の男性は異なるデザインの3つの修正テープを両手で持って胸の前で扇子のように広げ、右の女性はブリスターパッケージに入った状態の修正テープを片手に一つずつ持って胸の前に掲げてこちらに見せている。ALTおわり

Interviewee

  • 墨田 知世(すみだ ちせ)

    グローバルステーショナリー事業本部 グローバルプロダクト戦略統括本部

  • 野村 亮太(のむら りょうた)

    グローバルステーショナリー事業本部 グローバルプロダクト戦略統括本部

今回取り上げるHOWS DESIGNプロダクト

今回取り上げるHOWS DESIGNプロダクト

キャンパス 修正テープ<つめ替えスリムタイプ>

キャンパスノートの紙の色と同色のテープ、かつ罫幅に合わせたテープ幅で修正部分が目立ちにくい「キャンパスノートのための修正テープ」シリーズから新発売。注目すべき特長は、修正したい箇所をぴったり狙える独自設計の「めじるしライン付き透明ヘッド」。修正テープを何度も引き直して修正跡が汚くなるという不満を解消し、勉強のモチベーションや効率をアップしてくれる。さらに、ペンケースの中でかさばらないスリムタイプで、リフィルのつめ替えやすさにもこだわった。

商品紹介ページはこちら:

シリーズ初の「めじるしライン」付き! つめ替えやすさにもこだわったスリムタイプの修正テープが誕生

「キャンパスノートのための修正テープ」シリーズの最新作とのことですが、そもそもどんなコンセプトのシリーズなのでしょう?

墨田:本シリーズは「キャンパスノートにぴったり合う」をコンセプトに、ノートの色と罫線の幅に合う修正テープがラインアップされています。ほんのり黄色がかったノートの色とテープの色を同色にすることで修正した部分が目立ちにくく、罫線の幅より0.5mm狭い6.5mm(A罫用)と5.5mm(B罫用)のテープ幅を採用することで罫線を消すことなく文字をキレイに修正できます。

野村:学生にとって、ノートはキレイに使いたいもの。修正した部分が白浮きして目立ってしまったり余計なところまで消してしまったりすると、勉強に対するモチベーションも下がってしまいますよね。そんな困りごとから生まれたシリーズです。

ALTはじまり。黒い長そでを着用したショートカットの若い女性が机の前に座り、目線を自分の左方向へ向けながら笑顔で話している。左手には新商品を持ち、右手は手のひらを上にむけて身振り手振りしている。机の上には開発中に試作されたたくさんの修正テープが並べられている。ALTおわり

開発チームの墨田さん

今回の商品に取り入れたインクルーシブのポイントは?

墨田:最も大きな点は「めじるしライン」という機能が新しく追加されたこと。よくある修正テープは、先端のヘッド部分全体に色が付いていて引き始めは分かりやすいのですが、その周辺の文字が見えづらい傾向があります。そこで、ヘッド全体を透明にして、さらに引き始めをぴったり狙えるように先端部分に色を付けました。これがめじるしラインの特長です。

野村:もう一つのポイントは「つめ替えやすさ」。ペンケースに入れて持ち運ぶ際にかさばらないスリム形状でありながら、リフィルのつめ替えやすさにもこだわりました。

ALTはじまり。新しく発売する修正テープの使用イメージ。開いたノートには黒や赤のペンで日本語と英語が書き連ねられている。「Campus」と書かれた乳白色と青色デザインの修正テープを持ってその一部分を消している様子がアップで映っている。ALTおわり

ヘッド先端の水色の部分が「めじるしライン」。修正したい部分の始まりを狙いやすく、ピンポイントで消すことが可能

墨田:以前、スリムさに特化したモデルを発売したのですが、一部のユーザーからリフィルのつめ替えが難しいというご意見をいただいていました。これを改善するところから始まって大まかな方向性や形状が決まった段階で、さらなるブラッシュアップを図るためにインクルーシブの観点を取り入れることに。今回は上肢に障がいをお持ちの3名のリードユーザーにご協力いただいてワークショップを実施しました。

野村:ワークショップの段階ではめじるしラインもまだ開発途中で、既存品にマーカーで着色したプロトタイプを用意して実際に使ってみた感想をヒアリングさせていただきました。リードユーザーからは、「ヘッドの先端に色が付くことで引き始めの位置が分かりやすい」「透明なヘッドは周りの文字が見やすい」と概ね好評をいただき、自分たちが目指す方向性に確信を持つことができましたね。

「あったらいいな」から生まれた機構アイデア。限られたコストの中で最大限の付加価値を提供する

「めじるしライン」に関して、工夫したポイントや苦労した点はありますか?

墨田:苦労したことといえば、まず「めじるしライン」というアイデアにたどり着くまで。単純にパーツを増やして機能を追加すればいいものを作ることは可能ですが、なるべく多くの人に使っていただくことを考えると、コストを抑えることが必須条件。その上で何かしらの価値を付加しなければなりません。開発チーム全員で頭を悩ませていた時、野村さんがアイデアを持ってきてくださったんですよね。

野村:修正テープにまつわる困りごととして、引き始めが分かりにくいという声はよく耳にするので、何か目安になるものがあるといいなという観点から思いつきました。先端に色を付ける印刷であれば、それほどコストをかけずに実現できますからね。

ALTはじまり。背景にホワイトボードが映り込む会議室空間。黒い半そでを着用した短髪の中年男性が、机の前に座って柔らかな笑顔を浮かべながら喋っている。机の上に両手を置き、身振り手振りを交えて説明をしている。ALTおわり

「めじるしライン」の生みの親である野村さん

墨田:同じ開発者としては「悔しい!」と感じるべきところですが、きっと3年かかっても自分からこの案は出なかっただろうと思うと、悔しさを通り越して「すごい!」って。ちなみに、めじるしラインの理想の濃さを実現するために二度印刷を施していますが、これもチームメンバーの一人から出たアイデア。限られたコストの中で、ユーザーに届けたい価値を付加することができました。

野村:先端の色については、最終的に黒・赤・紺・水色の4つまで候補に絞って、なるべく幅広い方に見やすい色を検討した結果、水色に決まりました。

墨田:ノートに使うペンの色って黒と赤が多いので、書いた文字と見分けがつきやすい色のほうが認識しやすいという結論になったんですよね。

ALTはじまり。キャンパスノートを開き、その上に、修正テープの透明なヘッド部分を4つ置いている。横一列に並べて、先端に着色した5ミリ程度の長さの色を比較している。左から黒、赤、紺、水色。ALTおわり

ヘッド先端の着色部分は、幅広い人にとって見やすい色や太さを目指した

野村:もう一つ、めじるしラインを最大限に機能させるために工夫したのが、ラインとぴったり合う部分に常に白いテープをスタンバイさせておくこと。修正テープの仕組みは、リフィルに付属している「巻き出しコア」と「巻き取りコア」によって白いテープを出したり使い終わって透明になったテープを巻き取ったりしているのですが、この巻き取りコアの構造上、巻き戻りが発生しやすく、透明のテープがヘッドの先端に少し残ってしまうことがあるんです。

墨田:めじるしラインは消したい文字をぴったり狙えることが最大の売りなので、テープの出始めがほんの数ミリでもずれてしまうと、その真価を発揮できません。そこで、巻き戻りの原因となる構造を従来のものより小さく細かくすることで、テープの巻き戻りを最小限に抑えています。

細かい工夫がたくさん散りばめられているんですね!「つめ替えやすさ」に関しても、工夫したポイントがあれば教えてください。

墨田:つめ替えやすさを考慮すると、テープで手が汚れないようにリフィルにカバーを付けようという発想になるのですが、これをさらに本体カバーで覆うことによってどんどんフォルムが大きくなり、スリム形状からは遠ざかってしまいます。そこでリフィルカバーそのものを露出させてスリムさを実現したのですが、それによってつめ替えの際にリフィルカバーを手でつかんでしまい、本体カバーが開けないという弊害が出てきたんです。

野村:仕組み上、リフィルカバーを持ってしまうと本体カバーは開けません。ワークショップでは本体もリフィルも透明のものを使っていただいたので、そもそも本体とリフィルの境目が分かりづらく、カバーの開け方につまずくという声が多かったんですよね。

墨田:それもあって、リフィルは透明、本体カバーは乳白色と色を分けることに。さらにもう一つ、今回から取り入れた新しい機構があって、それがリフィル部分に付いている樹脂バネです。実はこれも野村さんがアイデアを出してくださいました。

野村:開閉ボタンを押した時に、内部の樹脂バネによりカバーが自動的に跳ね上がって開く仕組みになっています。

墨田:これは自社の過去の商品や他社製品などを参考にしたわけではなく、オリジナルのアイデアなんですよね?

野村:はい。そもそもカバーを開閉すること自体が面倒に感じることもあるので、ちょっとでも楽にする方法はないかと考えていた時にパッと思い浮かんで。具体的に何かきっかけがあったわけではないのですが、工学系出身で元々メカやギミックに興味があるので、日々いろいろと目を向けている中でヒントを得たのだと思います。ほかに、本体カバーの開閉パターンについてもいろいろと検討しましたよね。

墨田:開くと本体がバラバラになる弁当箱タイプ、つながったままの蝶番タイプ、180度に開くタイプなど、使いやすさと見た目のバランスには頭を悩ませました。というのも、私はプロダクトデザイン系の出身で「商品の最終的な見た目がキレイであること」が大切だという意識が根付いているんですね。でも、ユーザーである学生が修正テープに求めているのは、美しさよりも使いやすさ。手に取ってもらいやすいデザインは意識しつつも、ユーザビリティを最優先した結果、最も使いやすいと感じた180度の開閉タイプに落ち着きました。

ALTはじまり。修正テープの本体をパカッと開いた手元のアップ。左手の親指と人差し指で本体の先端部分を下からつまみ、右手の親指と人差し指でリフィルカバーの後部をつまんで本体から取りはずしている。ALTおわり

本体を乳白色、リフィルカバーを透明にすることで境目が分かりやすくなった。さらに、本体が180度に開くことでつめ替え作業がよりスムーズに

面と向かって対話を重ねることで見えてきた「ユーザーのためのものづくり」をこれからも

インクルーシブの視点を取り入れた今回の開発を振り返っていかがでしたか?

墨田:リードユーザーを交えたワークショップをする前は、「片手しか使えない方は、そもそも修正テープのカバーを開けることが難しいのではないか」といった思い込みがありましたが、実際はすごく器用にものを扱っていらっしゃって、自分の視野の狭さに気付かされました。ものづくりは、単に本から得た知識や伝え聞いた情報だけで組み立てていくのではなく、ユーザーと面と向かって対話をすることでよりよいものになっていくことを実感できたプロセスだったと思います。

野村:長く開発に携わっていると、例えば「修正テープの一番引きやすい角度はこれ」といった凝り固まった先入観が蓄積されていきますが、今回のように実際にユーザーに使っていただくことで、思いもよらぬ使い方の発見や使いやすさにつながる発想をいただくことがあります。HOWS DESIGNプロセスのいいところは、ワークショップを1回で終えるのではなく、2回、3回と数を重ねるところ。ユーザーの意見を反映させたものをもう一度使ってもらうことで、さらなる改良のチャンスが生まれますからね。

墨田:機能性とデザインのバランスに悩んだというお話もしましたが、作っているのは自分の作品ではなく、使ってくれる人のためのものなんだということを改めて意識する良いきっかけになりました。

ALTはじまり。黒い服を着用した男女二人が横並びに座っている。左の男性は机の上で手を軽く組みながら、自分の左方向へ目を向けて笑顔で喋っている。右の女性は隣で喋る男性に目線を送りながら笑顔で話を聞いている。ALTおわり

「今後の開発にもぜひ活かしたい」と取り組みを振り返る二人

最後に、修正テープのコアユーザーである学生に向けてメッセージをお願いします。

野村:修正テープの本質である「消す」という価値に徹底的にこだわった商品に仕上がっていますので、引き始めのぴったり感や消しやすさをぜひ体感してください。ちょっと大げさかもしれませんが、使いやすさに感動していただけるとすごく嬉しいです。

墨田:修正テープって「間違ってしまった」というネガティブな気持ちで手に取る商品なので、修正テープが大好き!という人はなかなかいないと思うのですが、そのマイナスな気持ちをさっとゼロにしてくれるポジティブな存在として皆さんに寄り添ってくれるといいなと思っています。

取材日:2026.10.13
インタビュー:秋田 志穂
執筆:秋田 志穂
撮影:松井 聡志
編集・校正:HOWS DESIGN運営チーム

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