「Campus」はなぜ今変わるのか? 新ロゴとVIに込めた想いとは

「Campus」はなぜ今変わるのか?新ロゴとVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)に込めた想いとは

昨年、50周年を迎えたキャンパスは、リブランディングを経て、ノートにとどまらない、“まなびかた”そのものをデザインするブランドへと舵を切りました。

今年は、その第2フェーズとなる、新ロゴおよびVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)の制定を行いました。そこに込めた想いを、担当者3人に聞きました。

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藤谷 慎吾

藤谷 慎吾

コクヨGST クリエイティブ企画部 クリエイティブディレクター

堤 沙也佳

堤 沙也佳

コクヨGST マーケティング部

宮﨑 奨之

宮﨑 奨之

コクヨGST マーケティング部

「”まなびかた”をもっと明るく」を ノンバーバルで伝えるVIを設定

― 昨年のリブランディングに続き、新ロゴとVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)の制定をすることになった経緯を教えてください。

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堤:昨年、キャンパスブランドは「”まなびかた”をもっと明るく」というコンセプトを設定しました。グローバルブランドとして、あらゆる接点で「もっと明るく」を伝えるためには、ノンバーバル(非言語)で伝わるようなロゴやVIが必要だと考えました。

キャンパスノート自体もリニューアルし、ロゴは4代目、ノートとしては6代目となった。

キャンパスノート自体もリニューアルし、ロゴは4代目、ノートとしては6代目となった。

―VIを設定するには、どんなプロセスがあったのでしょうか?

藤谷:「”まなびかた”をもっと明るく」というのは概念です。だからまず「明るいとは何か」から考えました。メンバーで集まって、「明るい」と思う素材を持ち寄って壁一面に貼っていき、「これは自分たちが思い描く明るさなのか?」といったことを話し合いました。みんなの目線を合わせるための作業です。
例えば、私たちが言う「明るい」というのは、洞窟の中に入ってくる光ではないよね、というような、細かい解像度を上げていった感じです。

堤:「明るい」とか「照らす」というのも、太陽みたいな明るさもあるし、懐中電灯で指し示すような明るさもある。「明るい」って人によって違ったり、思い浮かべる方向が違うよね、というのを可視化するためのワークショップでした。
キャンパスが実現したい「明るい」とはなんなのか。どのくらいの湿度なのか、気温なのか、風は吹いているのかとか。

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―そういった感覚を形にしたのが、このキービジュアルですか?

藤谷:VIのデザインはアートディレクターの木住野彰悟氏に依頼したのですが、最初の提案の段階からこの旗のビジュアルがあり、全員一致でボーダーの案に即決になりました。
他にも、初代のノートの表紙にあったラベルのような形をモチーフにしたものもあったのですが、やはりノートをベースに罫線で培ってきた信頼感を感じられたことが大きいです。

これだ!と感じたという旗のイメージ。

これだ!と感じたという旗のイメージ。

堤:ライフスタイルに展開した案を見たときにも、「こういう世界にしたい」という期待感がすごく大きかったです。キャップやソックスといった商品展開だけでなく、例えばトラックやプールといった空間に、このヴィジュアルがあることにもワクワク感がありました。

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文具以外への展開でも、ブランドのありたい姿の輪郭が視覚化されていた。

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(写真は未発売の参考商品)

藤谷:「これまでのノートのイメージを捨てて、私たちは新しいところに行きます」という感じではなくて、今までの歴史を受け継ぐということも意識されていた提案だったので、これしかないな、と思いました。

Borderless Line(ボーダレスライン) ネーミングに込められた想い

―このヴィジュアルエレメントには、名前もついているんですね。

藤谷:例えば、ポカリスエットのロゴの下のラインは「サーフライン」(※1)、コカコーラのリボンは「ダイナミックリボン」(※2)と呼ばれています。名前がある方が意図がしっかり伝わるのではないか、使うときにも意識できるのではないかということで、「Borderless Line (ボーダーレスライン)」という名前をつけました。
勉強している学生さんたちは、みんながみんな目標に向かって上手くいっているわけではないし、思春期だから色々な失敗もあると思うのですが、その時に寄り添って一緒に解決していくブランドでありたいという想いを示したボーダーです。

新ロゴとヴィジュアルエレメント

新ロゴとヴィジュアルエレメント

堤:キャンパスは、先生のように教えるわけではなくて、線みたいに寄り添っていて、緩やかにガイドしているというのが、まさに罫線。書く内容は自分次第です。そんなことも意識して考えていました。気づいたらそこにいるような存在でもあるし、意識したらそこで寄り添うこともできる、ライトとかトラックとか、そういう役割があるよね、って。

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―「ボーダーレス」に込めた意味とは?

堤:キャンパスがパーパスに掲げている「一人ひとりが自分に合った“まなびかた”を見つけて、100年時代を前向きに生き抜く力を持てる社会をつくる」という時に、やはり障壁とか目に見えないボーダーとか、そういうものを感じずに、もっと自由に学んでほしい。そういった意味にもかかっています。
それから、グローバルブランドとして、世界の学生たちに寄り添っていきたいという思いも込めています。まなびの環境やまなぶ目的が違っても、”まなびかた”ってどの国の学生にとっても、これからの人生の中でとても大事なこと。世界中のどこでキャンパスブランド出会ったとしても、まなびが明るくなりそう、楽しくなりそうと共通で思ってもらえるモチーフとかカラーとか、雰囲気を大事にしました。

藤谷:「明るい」というとちょっと引いちゃう子もいると思うんです。いわゆる「キラキラした生活」をイメージしてしまうというか。でも、僕たちが目指す明るさはそういうものではなくて…。
キャンパスの世界観をまとめたビジュアルブックに、走る学生のシルエットの写真があるんですが、キャンパスはこんなふうに土台というか、支えていける存在になれたら、と思っています。

トラックのボーダーが、走る人の支えになって寄り添っているよう。

トラックのボーダーが、走る人の支えになって寄り添っているよう。

キャンパスの世界観、 「体験」や「ふるまい」をヴィジュアルブックで表現

―ところで、ロゴやVIを設定するということは、使い方のルールや制約ができるということでもありますよね。

藤谷:このVIをどういうふうに使うのか、どこまで使っていいのかなど、社内からすごくたくさんの問い合わせがあります。商品だけでなく、販促物に入れるときはどうしようとか、SNSのアイコン、ホームページには入れるのか、などなど。
ただ、全部のルールを先に決めてしまうのではなく、1つ1つ丁寧に検討しながら、良かったものをルールにしようということにしています。ベストを都度探るということをやって、ある程度まとまったものをルールとして確認するという、普通とは逆のやり方をしています。
先にルールを決めると一見効率的で楽なのですが、そうするとルールが壁となって立ちはだかり、守らないといけない掟のような扱いとなってしまいます。そうなってしまうと、本当はもっと良い表現があったかもしれないのに思考停止してしまう。ブランドを長く育てていくうえでは、核となるアイデンティティを保ちながら、時に解釈を広げ、新たな表現を再構築していく柔軟性が必要だと考えています。

堤:リブランディングだからこその難しさもあります。やはり50年間の歴史があって、日本では子供からお年寄りまで、認知度も高いので、信頼感があって真面目で安心といったイメージがあるところで、それを崩さないようにしつつ、これから向いたい先にちょっとずついくようにする調整が必要になるからです。
このVIにすることで何が良くなるか、キャンパスに関わる全ての皆さんが納得感を持って進めるように、丁寧にコミュニケーションしていくことを、今後も意識して続けていきたいです。グローバルで1つのブランドを作るためには越えければならないポイントだと思っています。

藤谷:国内では、製造工場にも説明にいきました。リブランディングの背景や目的、これからのキャンパスが目指す姿を共有し、自分たちの仕事がブランドにどんな影響をもたらすのかを感じてもらえたのではないかと思います。

堤:製造現場の皆さんにまで考えが浸透して初めて、ブランドに込めた思いを商品の細かいこだわりに宿すことができると思います。この写真を見て、この子たちが使うんだな、これを実現することでこうよく変わるんだな、と思ってもらえたら。
実はインナーブランディングが一番難しいんです。そういうときに、VIはいいコミュニケーションツールになると思います。

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―そういう意味もあって、ビジュアルブックを作成されたのですね。

藤谷:キャンパスが目指す世界観、「ふるまい」や「体験」を表すものとして作成しました。
ありのままの学生を映し出したいという思いがあり、かえつ有明中高等学校にご協力いただいて、朝から晩まで一日撮影をさせてもらっています。写真家の濱田英明さんに、授業風景や何気ない自然な姿を撮影してもらい、勉強のシーンだけじゃなく、休み時間、体育や部活の風景だったりも、あえて入れています。
こういった画像も、店頭やプロモーションで使うためというよりも、キャンパスの世界観を社内の人に伝えるために撮影しました。

ヴィジュアルブックより。

ヴィジュアルブックより。

ヴィジュアルブックより。

演出なしで、何気ない日常を撮影。

宮崎:僕は異動してきたばかりなので、ブランドへの理解も少ないです。だから判断軸がなかなか持てないんです。
ただ、キャンパスとコラボしたいとなった時に、それをやるかどうかを判断する側にいます。これは無理、これはオッケーなんて、すぐにはわからない中で、やることの価値がどこにあるのかを一個ずつ考えて回答するのですが、営業や開発のチームと一緒になって共通認識を作っていくのだろうと感じながら仕事しています。
今は、ぼんやりしたものに輪郭ができている状態で、段々とラインみたいなものがはっきり見えてくるタイミングに入っていて、そうするうちに、じゃあちょっとそのライン広げようとか、今はこのままにしておこうとか、そういった具体的な軸を持った議論ができるところになっていくと思います。まだもがいて模索している段階ですね。

藤谷:キャンパスはコラボレーションも多く、グローバルでの展開もあり、変数が無限にある。ブランドブックにこう書いてあるからこの表現はできないとなってしまうと、逆に損になると考えていました。一貫性は持っているけれども、柔軟さがあることで、逆に持続的になるという考え方で、手間はかかるけれども、みんなで最適解を探しましょう、というスタンスです。

堤:みんな絶対的な正解を持っているわけではないからこそ、事例を一緒に作っていくことで、こういうブランドなのだと納得感を持って腹落ちできるのだろうと思います。初めてだからこそ、一緒にみんなでできるといいなと思っています。

新しいデザインに触れて、 前向きなワクワクを感じ取ってもらいたい

―今後は、どのようにこのVIを浸透させていくのでしょうか。

藤谷:まずは世の中に発信し続ける、ということだと思います。新しくなりましたといって、ワーッと一過性で終わるのではなくて、いつ見てもこの印象が変わらないということが多分大事なんだろうと思います。だから粘り強くやり続ける。
毎日キャンパスのノートや文具を使ってたとしても、学生のみなさんが「まなびかたが明るくなった」とすぐに感じるわけじゃないと思うんです。でも、学校を卒業するときや大人になったときに振り返って、キャンパスはあのとき「まなびを明るくしてくれたんだな」と思ってほしい。そのために、同じことを言い続けるというか、感じてもらえるようにしていくのが大切だと思っています。

堤:まずは日本から新しいVIの盛り上がりが始まりますが、今後もっとグローバルでも一緒に盛り上げて、浸透させていきたいです。とても柔軟で、日々の生活に寄り添いやすいVIだからこそ、ブランドとしてもこれからさらに50年、柔軟に進化を続けていけるといいなと思います。

宮﨑:“まなびかた”のブランドになったということが伝わりたいな、と思っていて。世の中にブランドといわれているものには、みんな何かしらのイメージを持っていると思うのですが、VIや商品通して、キャンパスもそれを持ってもらえる存在にしたいです。
変わったんだなということを感じてもらえるポイントを、商品もそうですし、プロモーションも含めて仕掛けていきたいとは思ってます。楽しみにしていて欲しいです。

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―この取り組みを通じて、世の中にどのような「好奇心」をもたらせると思いますか?

堤:“まなび”というのは、机の上の勉強だけでなく、部活とか友達関係とかといったプロセスも含まれています。キャンパスは好奇心そのものを直接与えることはできなくても、学生生活を通して様々なことをまなぶ中で好奇心の火種を見つけた学生に対して、時には文具の機能で、時には勉強法のアイデアで、寄り添う存在でありたいと思っています。

藤谷:新しいキャンパスは、単なる勉強のための道具ではなく、学生のみなさんが悩み、試行錯誤しながら自分の可能性を広げていくプロセスに寄り添うパートナーでありたいと思っています。軽やかになった新しいデザインに触れて、何か少しでも前向きなワクワクを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

宮﨑:“まなび”という大事で、でも難しいものに向かっていくブランドの姿をみて、まなびの奥深さ、まなぶこと自体の面白さに好奇心を持って惹かれてもらえれば。何気なく使うと意識されないポイントも、実は工夫して作られていることにみんなが気づける、まなびが自分の人生にとっても社会にとっても必要で、面白いものであることに気づいていただけたらと思います。

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