採用ブランディングに効く!「働きたい」と思えるオフィスの作り方【事例あり】
この記事では企業の人事部門の方向けに、採用ブランディングの基礎知識や取り組むメリット、具体的な進め方についてお伝えします。また、採用ブランディングに効果的な施策の1つとして、求職者から選ばれる魅力的なオフィスの作り方を、事例入りでご紹介します。
1.採用ブランディングの基礎知識
採用ブランディングの定義
採用ブランディングとは、企業が理念や独自の価値への共感(共鳴)を軸に採用活動全体を設計し、条件や知名度ではなく「その会社だから」という理由で選ばれる状態をつくる活動です。
採用ブランディングとは─提唱者による定義・理論・実証データのすべて | REPORT | Musubi Inc.
これまでの採用活動との違い
採用情報を広く伝える採用広報や、応募者のニーズを分析して採用市場で有利なポジションを目指す採用マーケティングとは異なり、採用ブランディングは自社の価値観や文化への共感度が高い人材から選ばれることを目的としています。たとえ応募が少数であっても、企業が求めている人材を採用できて、入社後に活躍・定着すれば、採用活動は成功なのです。
採用ブランディングが注目されている背景
2009年に0.47だった有効求人倍率は、2018年に1.61を記録し、近年は1.2前後で推移。つまり、求職者の売り手市場が続いています。そして、厚生労働省が2025年10月に発表したデータによると、新規大学卒就職者の就職後3年以内の離職率は33.8%で、3分の1以上が3年以内に離職している計算になります。
優秀な人材の獲得や、早期離職の防止、SNS・採用レビューサイトなどの口コミ対策などを目的に、欧米で経営に取り入れられてきたのがEmployer Brand(雇用主ブランド)です。ブランド管理の手法を人事に適応する考え方として1990年代初頭に生まれ、研究が進んできました。
日本では、書籍『無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング』(深澤了, 2018年, 幻冬舎)で「採用ブランディング」が提唱されました。その後、さまざまな書籍やメディア、セミナー、コンサルティングなどを通じて、日本企業に浸透してきています。
2.企業が採用ブランディングに取り組むメリット
人的資本経営の推進と、持続的な企業価値向上
自社の強みに採用戦略を適合させる、社内外に対する一貫した情報発信、体験を通じたエンゲージメント向上などの考え方が共通していることから、採用ブランディングは人的資本経営の取り組みの一貫と考えられます。つまり、採用ブランディングに取り組むことで、人的資本経営がもたらすメリットである「持続的な企業価値の向上」が期待できるのです。
入社後ミスマッチによる早期離職の防止
採用ブランディングは、企業の理念や強みをベースに、社内外に対して一貫したコミュニケーションを行う活動です。外向けに飾り立てた姿を見せるのではなく、外から見た企業イメージと、働いている人が抱いている企業イメージを一致させ、企業の理念や文化への共感度が高い人材の採用を目指します。
そうすることによって、入社後に「思ってたのとちがう」「こんなはずじゃなかった」となるミスマッチを防ぎ、人材の定着率を高めることができるのです。
求職者と従業員、双方のエンゲージメント向上
前項でも述べたように、採用ブランディングは社外・社内の双方に向けた活動であり、社員けの企業ブランディング(インナーブランディング/インターナルブランディング)と不可分です。企業の理念に基づいたブランドを社内に構築し、自社の理念や強みに対する社員の理解を促進することが、エンゲージメント向上につながります。
3.採用ブランディングの進め方
①体制作りと強み・課題の言語化
人事部門だけで採用ブランディングに取り組もうとしても効果は限定的です。全社的な取り組みとして展開するためには、経営トップのコミットメントのもとに、社内の各部門からメンバーを集めてプロジェクト化することをおすすめします。
体制ができたら、自社の歴史や強み・弱みの棚卸しや、目指していきたい企業像や解決したい経営課題についての議論を深めていきましょう。
②求める人材のペルソナ作成
必要なのは、スキルや経験などの要件だけではありません。その人がどんな価値観を持ち、どんな生活をしているのか。仕事ではどんなことを大切にしていて、今どんなことに悩んでいるのかなど、できるだけ具体的に架空の人物像(ペルソナ)を設定します。
マーケティングの分野ではペルソナの活用が一般的です。社内に詳しい人がいたら、協力してもらうとよいでしょう。
③採用コンセプトの開発
経営理念や市場における競争価値、社員に提供できるベネフィットなどの中から、ターゲット人材の価値観にマッチしそうなものを絞り込み、「私たちは市場においてこのような存在である」「事業を通じてこんな未来を作って行きたい」「だからここで働く人はこのような価値を得ることができる」といった軸を整理していきましょう。
コンセプトを短い言葉にまとめたら、そこに「自社らしさ」が感じられるかどうか、ターゲット人材の共感を得られそうかなど、さまざまな観点から客観的に評価して、ブラッシュアップしていきます。
④一貫した求職者体験の設計と提供
経営者、役員、社員の言葉や態度
もし、外向けに発信されている情報と、面接などで社員や役員が話す言葉や態度との間に温度差があったら、応募者はその矛盾を敏感に感じ取るでしょう。
各種広報ツールのビジュアルデザイン
オフィス、説明会、イベントなど「場」のデザイン
企業の理念や強みを感じさせ、そこにいる人が「大切にされている」と思えるような場は、求職者の好印象や、働く人の誇りにつながります。企業の価値を伝えるブランディング・メディアの1つとしてオフィスを活用しましょう。
関連記事:
ワークプレイスは組織のブランディング・メディアになりうるか?
効果検証と改善
大切なのは、採用サイトへのアクセス数やエントリー数といった「量」ではなく、採用活動の「質」です。応募者の中で求める人材像に近い人がどの程度いたか、そのなかで内定を受諾し採用に至った割合はどのくらいか、採用後の定着率や活躍の様子はどうだったか、といった点が評価のポイントになります。
効果検証の結果を踏まえて各施策の振り返りを行い、今後の計画やリソース配分の見直しを行って、改善につなげていきましょう。
4.求職者に選ばれる!EVPを反映したオフィスの事例
制度やオフィス、企業文化にEVPを反映していくことは、採用ブランディングにも有効です。ここからは、求職者や社員が「ここで働き続けたい」と思える、魅力的なオフィス空間の事例をご紹介していきます。
関連記事:
選ばれる企業になるためのEVP(従業員価値提案)とは?
オフィスは会社の顔。採用・定着に効く理由を考えてみた
コミュニケーションを促すマグネットスペース
マグネットスペースの例としては、カフェコーナー、作業もできる共用備品コーナーなどが挙げられます。コクヨでは、全国の拠点に、それぞれの特色を活かしたマグネットスペースを設けています。
コクヨ品川オフィスのカフェコーナー
「自社らしさ」が創造性を高める、アートやシンボル
たとえば、ミズノ株式会社の研究開発拠点である「MIZUNO ENGINE」では、エントランスにスポーツを感じさせるボルダリング壁を設けています。また下の写真の例のように、社員参加型のアートワークショップで理念やパーパスを可視化し、オフィスに飾るのもおすすめです。社員が自社の理念やパーパスについて主体的に考え、視覚化・共有するプロセスを通じて、企業文化の醸成や変革への効果も期待できます。
コクヨ空間事例「MIZUNO ENGINE」
5.魅力的なオフィスが、入社意欲や働く誇りにつながる
採用ブランディングの目的は、企業が求める人材が「ここで働きたい」と思えるような企業ブランドを構築することです。企業ブランドは、採用サイトや広告だけでなく、対面コミュニケーションを含むあらゆる接点における、応募者や社員の体験から構成されます。なかでもオフィスのあり方は、企業文化や働き方を色濃く反映し、求職者・社員のエンゲージメントに大きな影響を与える大切な要素です。
コクヨでは採用ブランディングにつながるオフィスづくりのお手伝いをしています。下のリンクからは、これからのオフィスに求められる空間のポイントや、コクヨを含む9社のオフィスデザイン事例をご紹介している資料をダウンロードいただけます。ぜひ、貴社の採用ブランディングに向けたオフィスづくりにお役立てください。
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