オフィスの食堂、どう作る?ROIを高める空間設計のポイント【事例あり】
コクヨHQオフィス
いま、働く人と企業の「食」に関するニーズはどう変化し、オフィスの食堂空間には何が求められているのでしょうか。この記事では、オフィスの「食」に関する現状と、投資対効果(ROI)を最大化する食堂空間の作り方について解説していきます。
1.オフィスの「食」へのニーズは変化している
そのことにより、「社員が食事をとる」という機能のみに特化して作られた従来型の社員食堂は、時代に合わなくなってきています。
オフィスの「食」に関して、働く人と企業の現状はどうなっているのでしょうか。コクヨが2025年に日本国内で働く人約3000人に対して行った調査のデータを交えながら、詳しく見ていきましょう。
関連記事:
働き方お役立ち資料 WORK VIEW 2025 職場の食が満たすもの
出社しても孤独な社員ー短時間のデスクランチが常態化
コロナ禍の2020年には17.5%まで低下していたオフィスへの出社率は、2025年には73.4%まで回復しました。しかし、外出や会食が制限されていた時期を経て、出社回帰が進んでいる現在においても、「デスクで、1人で、短時間に」昼食をとるワーカーの傾向が見て取れます。
「WORK VIEW 2025」より
約7割の企業が食関連の施策を実施
なお、食にまつわる福利厚生がある企業の従業員の満足度は91%で、食にまつわる福利厚生がない企業の満足度は78%。食に関する施策は社員の満足度を高め、離職防止やエンゲージメントの向上にも寄与すると考えられます。
「WORK VIEW 2025」より
食事補助は福利厚生の充実から「従業員ウェルビーイングの向上」へ
法政大学人間環境学部の湯澤規子教授は、オフィスの食にはコミュニケーションの活性や創発といった「活動の場」であると同時に、「休息の場」としての役割も期待され、オフィスの食堂について考えることが持続的な働き方やウェルビーイングに通じていくという考えを、コクヨによる調査レポート「WORK VIEW 2025 職場の食が満たすもの」の中で述べています。
関連記事:
人的資本経営とは?担当者が知っておきたい基礎知識と、推進・実践の具体的なポイントを解説
2.オフィスに社員食堂を設けるメリット
ボンディッシュ株式会社が2026年に行った調査によると、「社員食堂を導入したことによる効果・変化は何ですか?」という問いに対し、社員食堂を導入した企業の担当者77.4%が「社員満足度が向上した」と回答しています。
社員食堂の導入は、働く人と企業に対してどのようなメリットをもたらすのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
コミュニケーションの活性化
ボンディッシュ株式会社の調査では、36.4%の企業が「社員同士のコミュニケーション促進」を社員食堂導入の目的として挙げており、社員食堂導入後の変化として75.7%の企業が「社員同士のコミュニケーションの場になった」と回答しています。
社員の健康管理
ウェルビーイングの前提となる「心身の健康」を守ることで、持続可能な働き方を後押しする存在と言えるでしょう。
生産性の向上
ボンディッシュ株式会社の調査では、67.9%の企業が社員食堂導入後の変化として「業務面での成果があった」と回答しています。
エンゲージメントの強化
食に対する投資は、現役の社員だけでなく求職者にとっての企業の魅力も向上します。ボンディッシュ株式会社の調査では、65.2%の企業が社員食堂導入後の変化として「採用面でメリットがあった」と回答しています。社員食堂の設置は、採用ブランディングへの効果も期待できるでしょう。
関連記事:
採用ブランディングに効く!「働きたい」と思えるオフィスの作り方【事例あり】
3.社員食堂導入のネック(デメリット)と解決策
導入時のネックとなるデメリット、その解決策についても確認しておきましょう。
運営コストと初期費用
調理設備をともなう食堂を設置するには、水道やガスの引き込みを含む大規模な工事が必要になる場合があり、食堂の運営には人件費や光熱費も継続的にかかってきます。しかし、調理は外部サービスを利用し、社内には調理設備を持たないという選択肢もあります。
現在は「食」に関する多様なサービスが存在し、オフィスにスマート冷蔵庫を設置するタイプの社食も増えています。ほかにも、キッチンカーに来てもらう、ケータリングのお弁当をオフィス内で販売する等の方法もあります。
社員にとって大切なのは、仕事から離れてリラックスした環境で食事ができる空間が、オフィス内に存在していることです。何もかも自社内で賄うのではなく、企業の規模や予算、使用可能なスペースに合った食堂のあり方を検討してみてください。
利用者ニーズの読めなさ
食堂のみに特化した空間を設けてしまえばお昼時以外は活用されないため、どうしてもムダが出ます。これを防ぐために、食堂空間を食事以外の多様な目的で利用できるように作ることが大切です。まずは社員の現状や希望をリサーチした上で、組織として理想の状態を描き、それを実現するための食堂をデザインしましょう。
その際には、社員食堂の構築に知見を持った外部のコンサルタントを活用するのも1つの方法です。なお、コクヨでは、ありたい組織の姿を引き出すコンサルティングから、利用者ニーズに応える食堂の設計・構築までワンストップでお手伝いしています。
関連サービス:
ソリューション|空間|コクヨ
4.おしゃれなだけじゃない!ROIを高める食堂空間のポイントと事例
ここからは、空間を最大限に活用できるオフィスの食堂を作るためのポイントと、企業事例をご紹介します。関連記事ではより多くのポイントや事例をご紹介していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:
おしゃれな社員食堂レイアウト事例とデザインのポイント
コクヨHQオフィス
食事以外にもフル活用できる、マルチパーパスなエリア設計
それによって、1人でさっさと食事をしたい、少人数でゆったり過ごしたい、大勢でワイワイ食べたいなど、休憩時間のさまざまなニーズに応えられるだけでなく、お昼時以外はワークスペースとしても活用しやすくなります。
たとえば、カウンター席ではソロワーク、ソファー席では打ち合わせ、リラックスラウンジではリフレッシュなど、目的によって使い分けることができます。柔軟に活用できる空間を作るためには、PC用電源の設置や、移動しやすい家具の導入なども欠かせません。
「食堂リニューアルの構築ポイント」より
①
テーブル席
・カジュアルな打ち合わせ
・チームでの軽い相談
・イベントやセミナー会場

②
ソファー席
・カフェ気分でソロワーク
・リラックスしたランチミーティング
・個別ミーティング

③
ソロカウンター席
・短時間でのPC作業
・集中したソロワーク
・休憩やリフレッシュ

④
ビッグテーブル席
・自然と人が集まるマグネットスペース
・ワークショップ開催

⑤
リラックスラウンジ
・深いリフレッシュ
・少人数での雑談
・オンとオフの切り替え

誰もが居心地よく使いやすい家具
おすすめなのは、多様な人が使いやすいインクルーシブデザインを取り入れた家具を採用することです。コクヨのコクヨの「HOWS DESIGN〈ハウズデザイン〉」では、企画段階から多様なユーザーが参加し、社会のバリアを発見することで、誰もが自分らしくいられる社会をつくることを目指しています。
写真左 Hemming(ヘミング)、中2つ Liite(リーテ)、右 Toss(トス)
社員目線で考える、リラックスできる空間デザイン
内装デザインは、社員の「オン」と「オフ」を切り替えるスイッチの役割も果たし、集中や対話、開放感やリラックスを自然と促すツールにもなります。音響や視線への配慮、植栽の配置など、ユーザーである社員の目線に立って、細部まで配慮することで、社員の利用を促進し、空間の効果を高めることができます。
ストレスフリーなレイアウト
1.十分な通路幅のあるメイン動線の確保
2.空間の用途に応じたテーブルサイズの選定
3.心理的負担を軽減するリフレッシュエリアの設置
4.リラックス効果のあるグリーンの配置
5.他者からの視線を外すカウンター席の設置
空間の利用を促進する仕組みや制度の設計
たとえばコクヨでは、普段は出会わない社員同士をマッチングしてランチを設定するアプリを、情報システム部門の有志メンバーが開発しました。昼食の時間を社内のつながり構築に活かす、実験的な取り組みです。
多様な過ごし方ができる食堂空間の構築と、ランチの時間をクリエイティブに生かす組織風土の醸成を同時に進めることで、空間の効果をより高めることができます。
【企業事例/パナソニック コネクト株式会社】交流とイノベーションを生み出す食堂空間
部門・事業会社を超え、イノベーションを生みだす共創空間
5.小さな空間から始めるなら「カフェスペース」がおすすめ
カフェスペースとは、単にお茶やコーヒーを飲みながら休憩するだけなく、木目調の家具や植栽などで「まるでおしゃれなカフェにいるかのような空間」を演出し、リラックス効果やリフレッシュ効果をもたらすよう設計された場のことです。
社員が気軽に利用できるように執務スペースの一角に設けられるケースが多く、自然と人が集まり偶然の出会いやコミュニケーションが生まれる「マグネットスペース」の役割も果たします。コクヨが2021年に社員500人以上の民間企業に勤めるワーカーを対象に実施した調査によると、オフィスの中で部署を超えたコミュニケーションが活性化するスペースは「カフェスペース」(36.6%)が1位となっています。
食堂よりも小規模のスペースでも、社内コミュニケーションの促進や、リフレッシュによる生産性向上、従業員エンゲージメント向上などにおいて大きな効果が期待できる施策です。
DAYS OFFICE CAFE
6.まとめ:社員のウェルビーイング起点の食投資が企業価値につながる
そこで大切なのは、食堂を単に「食事」という機能面からとらえるのではなく、「社員のウェルビーイングに資する空間」としてとらえることです。オフィスの移転やリニューアル、福利厚生制度の見直しなどのタイミングは、「食」に関する取り組みと企業価値の関係について考える良いきっかけとなります。ダウンロード資料では食投資のROI向上につながる情報をさらに詳しくご案内していますので、ぜひご活用ください。
メルマガ登録
オフィスづくりや働き方をテーマとした
お役立ち情報・セミナー情報をお届けします
無料!働き方お役立ち資料
移転・リニューアル、フリアド、ABWなど
チェックリストや事例をすぐにご活用いただけます
連載コラム
働き方用語辞典一覧(全用語)
学べるコクヨのオウンドメディア
MANA-Biz
ビジネスパーソン向け情報サイト。「学び」の視点からビジネスシーンで役に立つスキルや知識をご紹介。
オフィスカイゼン委員会
オフィスカイゼン委員会オフィス環境を快適な状態に維持するため、日常的に問題を解決する仕組みづくりを行っています。
ヨコク研究所
未来社会のオルタナティブを研究・実践する、コクヨ株式会社のリサーチ&デザインラボです。
働き方・家具・オフィス空間の
最新情報をチェック!